花火《黒桃》 (ページ11)

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花火11 ページ11

蓮side(続き)

(1階から聞こえる声)

大「..あいつ反抗期長くない？..それか、俺のことまじで嫌い？」

母「あんたのこと嫌いなわけないでしょ。大介がそばにいないと死ぬ、くらいの勢いで、
大介のこと大好きだったわよ、」

大「...ちっちゃい頃でしょ、」

母「泣いてても、あんたがくると、ピタッと泣き止んだし、嬉しそうに笑ったもんね～、すごかったわ。」

母「蓮が1歳の時、再現していい？」

(母再現中)

蓮『うぁーーん！(泣)』

母『蓮ちゃん泣き止んでー、』

蓮『うぁーーん！ああーん！ぎゃああ！(号泣)』

大『蓮ちゃん、にぃにだよー、』

蓮(はっ、...パァァ✨✨)

大『にぃにが撫で撫でしてあげるよー、』

蓮『きゃっきゃっ、きゃっきゃっ、にぃ！』

母「毎日こんな感じよ。」

大「...蓮は覚えてないよ..」

母「いや、蓮にも身に覚えがあるはず。大介は、蓮のヒーローだったから。」

大「今は全然。俺の方は、今でも蓮のこと大好きなんだけどなぁ...」

大介の好きと、俺の好きは、違うから。

大介とは、結婚できないと知った日から始まった、長い反抗期。

終わりなんてない、反抗期。

ふと、
カレンダーが目に入る。

ひねくれてる俺だけど、
大介との毎年恒例のイベントがあって。

その日だけは、特別。

8月の終わりにある、花火大会。

もうすぐ、だ....

塾も入ってないし、
今年も、ちゃんと空けてある。

俺は4歳。初めて花火を見て感動した、あの年からずっと。

...大介が、来年から社会人だから、
いよいよ今年が、最後かもなあ。

いつも、大介から誘ってくれるけど、
今年はまだ、だな...

去年、何着て行ったっけ？

(クローゼットをあさる蓮)

ひかるside

小さい時は、蓮がおっきくなっていくのが嬉しかった。

俺がそばに居れない時も、
タフな弟がいれば、不器用な大介のこと守ってくれると思ったから。

だけど、蓮が中学生になって、高校生になって、

どんどん背も伸びて、俺を追い越して、

俺に向ける鋭い目で、確信した。

ただの、兄弟愛じゃない。

俺と同じだ。

蓮は、俺と同じ温度と光で、
大介を見ている。

いつかその時がくると、
覚悟してたけど、

大介は、いつまでも俺といてくれたし、
俺を頼ってくれたから。

大学最後の夏。
勝負に出ることに決めた。

俺は、

大介に弟ができるより、
もっともっと前から。

大介が好きだった。