めめさく短編2 (ページ20)

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これは本当、それは嘘。2 ページ20

「お金は、あげる。おじいちゃんも、両親も、悪い仕事ばっかしてて。
　俺分かってるの。俺の家族のせいで、困ってる人がいっぱいいること。」

「......」

「俺、いつもいじめられてて。小さい頃から。お前の親父、犯罪者でしょ、とか言われて。」

「......」

「みんな、お金のことばっかり。いつも、このでかい家に、1人だったの。」

「....そ、か。」

「無理矢理、海外の大学に入れさせられたけど馴染めなくて。
　日本に1人で逃げ帰ってきたけど、おじいちゃん、やっぱり危ない仕事ばっかしてて、
何も変わってなかった。おじいちゃんが悪い人って知ってて、お金とったんでしょ？」

「.....」

「俺も、連れてってくんない？」

「はあ？」

「この家にも、家族にも、うんざりなの。家族なんて、いない。俺には。」

「資産家のお坊ちゃんが、何言ってんの？」

「家族のせいで、友達なんて、1人もできたことない、誕生日だって、いつも1人だし。」

「...そ、か。」

「ねぇ、同い年くらいでしょ？そのお金あげるから、お、俺と、
　友達に...なってくれない？」

「っ、本気かよ、」

「うん、」

「...詐欺師だよ？俺。」

「知ってて、言ってる。」

「....はぁ、いや、でもなぁ」

「ね、一緒に、商店街のカフェ行かない？」

「....カフェ？」

「カフェ代は奢ってよ、その1億円から。」

「......」

「一緒に行ってよ、じゃなきゃ、詐欺だって、おじいちゃんに言っ」

「分かった、分かった！行くから！」

＊

何でこうなったのか。
目の前には、美味しそうにかき氷を頬張る、同世代の小柄な男。イチゴ味、らしい。

本来なら、仕事が終了したら、その町からすぐに消えなければならない。
足がつかないようにするのは鉄則。
金持ったまま、ターゲットの家からこんな近所で、足止めくらってる場合じゃない。
じいさんが何か気づいて探しにきたら、終わりだ。

「美味しい....俺、友達とこうやって、一緒にかき氷食べるの、夢だったの。
　テレビで見てから、憧れてた。」

「かき氷くらい、いつでも食べれんじゃん。」

「ちがうの、誰かと食べたこと、ないから。」

「.....一度も？」

「うん、お手伝いさんも、ご飯用意したら、すぐ部屋からいなくなっちゃうから。
　そのお手伝いさんも、俺が中学生になったころ、辞めちゃったけど。」

「.....」