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昼前。少しお腹が空いて、だけど家に何もなくて、コンビニにご飯を買いに行くことにした。
軽く化粧をして、コンビニに出掛けられる程度の服に着替え、財布とスマホと鍵だけ持って家を出た。
そして、「寒いなぁ」と小さく独り言を零し、呑気に肩を竦めながらエントランスを抜けたときだった。
「…A」
鼓膜を揺らしたその声は、ひどく懐かしい響きで耳を抜けた。
本気で、空耳か幻聴だと思った。
視線を上げる。驚いて身体が固まった。私に向いたその視線に縛られているみたいに、急にその場から動けなくなった。
「久しぶり。…元気、だった？」
エントランスを抜けてすぐのガードレールの前。私の姿を見つけた彼は、浅く腰掛けていた身体を起こし、私の方へと少し近付いてきた。
随分と久しぶりに彼の姿を視界に入れたのに、昨日のことのように彼が私に話しかけるから、とても不思議な感覚に陥った。
それと同時に、胸の奥の方を、きゅ…と締め付けられるような感覚が襲った。
「…なんで」
きちんと声になったのか定かではない。喉が渇いて息苦しい。目の前に広がる景色が信じられない。
「Aに、会いに来た」
真剣な眼差しで、私を見据えるその大きな瞳。揺れることなく、私を真っ直ぐに見つめて、彼は静かに言葉を口にした。
「Aにずっと話したかったことがあるんだ。だから、会いに来た」
ゆっくりと懐かしい声に乗せて、一言一句を口にする。
私に“トラウマ”を植え付けた彼の声は、５年前よりもひどく甘い毒を持っていた。
５年の月日が経ったと物語る、あの頃よりも随分と大人びた姿。
一気にフラッシュバックされる想い出。ずっと消えずに私の中で棲みついていた彼。
やっとあなたを思い出さなくなってきた。自分から好きになれる人と出会えた。もうあなたに縛られずに一歩前に踏み出そうとしていたのに。
なのに、どうしてこのタイミングであなたは私の前に現れるの。
「…話すことなんてない」
彼、斗真くんにそう言い捨て、鉛のように重たい足を動かした。
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にゃん(プロフ) - 続きを書いて下さってありがとうございます。足が遠のいたり書けなくなる人の気持ちも分かるので更新して頂けると凄く嬉しいです(*'▽'*)♪ (2022年11月27日 0時) (
レス) @page36 id: b010e36986 (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです！！待ってました！！またゆる〜く待ってます♪ (2022年11月7日 0時) (レス) @page36 id: 8aa8752128 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 待ってる人ちゃんといますよ！更新ありがとうございます！ (2022年11月6日 12時) (レス) @page36 id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 妃紀さんお久しぶりです。更新ありがとうございます🤗とても嬉しかったです👏👏😍 (2022年11月6日 9時) (レス) @page36 id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 今晩は。続きが読みたいです (2021年10月23日 22時) (レス) @page32 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃紀
| 作成日時：2019年8月25日 22時
