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潤くんはすぐに「ごめん」と小さな声でボソッと謝って来た。
ううん、と首を横に振れば、「この話はもう終わり、な？」と優しく顔を緩ませた潤くんに「うん」と頷いた。
それからまたぶらぶらと少し服を見て回ったあと、潤くんが行きたいと言ったインテリアショップに行ったり、雑貨店に行ったりしていたら、あっという間に日が暮れていた。
夜ご飯は潤くんが予約したというイタリアンのお店に行った。
さすが潤くん！と声を大にして言いたくなるようなオシャレな内装のお店で、もちろん料理も絶品で、こんな完璧な幼馴染がいることを今更ながら誇らしく思った。
「ご馳走様でした」
お店を出て、何も言わずに会計をしてくれた潤くんにお礼を言えば、「約束は守る主義なんで」と少し悪戯っ子のように笑った潤くん。
そんな潤くんに「やっぱり持つべきものは幼馴染！」と言えば、「だから何だよそれ」と潤くんは呆れたように、だけど楽し気に笑いながら言った。
「ん〜、潤くんといるとやっぱり気を遣わなくて楽だなって」
「今更気を遣う仲でもねぇだろ」
「そうだよね(笑)でも久しぶりに遊べて楽しかったなぁ」
駅までの道のりを潤くんと並んで歩く。
美味しいご飯をお腹いっぱい食べられて満足だ。
寂しい誕生日じゃなくて、楽しい誕生日になって良かった。
「Aはさ、」
「ん〜？」
暫く歩いたあと、ふふふ〜んっと上機嫌に、今にも鼻歌を歌い出しそうなテンションの私とは対照的に、潤くんが改まった口調で切り出してきた。
そんな潤くんを不思議に思いながらも、ん？と言葉の続きを待つ。
「俺のことどう思ってる？」
「へ？どうって…なに、どういうこと？」
「いや、どうっていうか…なんつーかさ…」
しどろもどろな潤くんがらしくなくて、どうしたんだろうか、と思っていれば、「幼馴染の定義って何だろうって思ってさ」と潤くんが言った。
「幼馴染の定義？」
考えたこともなかった“幼馴染”という定義。
文字通りに普通に考えれば、幼い頃に親しくしていた関係じゃないの？
でもそんな当たり前のことを改めて質問するわけない。
だからもっと違う観点からの問い掛けなんだろうとは理解した。
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作者名：妃紀
| 作成日時：2018年12月2日 19時
