16粒 ページ16
.
俺の母親は一言でまとめると理想が高かった。父さんは有名な医者で、お金もそこそこに入ってきたからだろう。なので本当は医者を継げばいいと母さんに言われていたことが未だ印象に残っている。
勉強は嫌いじゃなかったし、成績も良かった。あの頃は母さんの理想に応えないと、良くしないとという気持ちでいっぱいいっぱいになっていて、それと同時に何に口を出しても機嫌が悪くなる一方の母さんにはただ合わせるぐらいしかできなかった。上手く理想になれなかったり、期待に応えられなかったときは悪い子だからと押し入れに1日、いや2日も閉じ込められ、昏睡状態のところを渋々出してもらえたというところだろう。
そんな体験を一生したくなくて、上げていくのに必死だった。
とある日、急にクラスの先生が俺にこんなことを言い出した。
「来月から、ショッピには軍学校に行ってもらうことになったの。」
syp｢軍、学校？｣
「そう。ショッピは運動神経も群を抜いていいし頭も良いでしょう？だから軍のお偉いさんが是非ってお声をかけて下さってね。お母さんの方には私から連絡しておくから。」
俺の通っているところは色んなところが目につける私立の学校だった。しかし軍のお偉いさんが俺のことを知っていたなんてそれこそ知らず、軍隊に誘われたのはびっくりする他なかった。
運動においては気分転換程度にしていたのでそんなことを言われるとは思ってもみなかった。
あぁでも、まだ幼くて意識してなかっただけで本当に良かったのだろう。
軍学校と聞いて、声をかけてもらえて嬉しい半分、憂鬱な気持ちで家に帰った。
「軍学校、行かせるから」
syp｢え、｣
「総統様から声をかけてもらったのよ。行かせない他ないでしょう？」
syp｢は、い…｣
「大丈夫、軍学校に行っても軍医っていう仕事がある。それに就くの、ショッピ」
俺はその時まで、1秒たりとも忘れたことの無い言葉を心の中で呟く。
やっぱり、俺は母さんの理想形になるしかないんやな。
軍学校では兵になるための練習の他に、ちゃんと知識も身につけられ、友達もなんとか作れたし寮生活とは言えど、時たまに帰る家に居場所はまだあった。
俺の中での革命が起こったのは、この人に会ったからである。
gr｢…君、勿体ない目をしてるな。｣
syp｢…は？誰ですかアンタ。｣
gr｢人に名を尋ねる場合は自分から、だぞ。ほら早く名前を言え。｣
なんやコイツ。最初は素直にそう感じた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 599人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きらら(プロフ) - 完結したっ…いい終わり方でしたァっ…ガチ目に泣きました… (2019年11月22日 5時) (
レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
なのくさ(プロフ) - びりびりしますね、更新楽しみにしてます。ぞくぞくして面白いです (2019年11月4日 23時) (レス) id: b3104d6996 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんひな - ひくん大好きです！四ツ谷さんの小説好きなので更新待ってます！ (2019年9月23日 21時) (レス) id: 894f831fc0 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - いっぱいちゅき… (2019年9月13日 21時) (レス) id: da8d83ddba (このIDを非表示/違反報告)
霞花(プロフ) - 本っ当に四ッ谷さんのぴくん好きです！更新頑張って下さいっ！ (2019年9月9日 20時) (レス) id: b039efaad2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
