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とは言いつつも、窓の外に広がる景色は、つい先日通ったばかりなのに、夜と昼とではまた見え方が変わっておもしろくて思わず写真に収めた。この写真、誠也くんに送ろ。
誠也くん今何してるかなあ。久しぶりのおうち楽しんでるかなあ。どうせsena様とらぶらぶしてんねやろなあ。
「寂しいんやったら電話掛けたらいいやん」
『へ？』
「末澤のこと考えとったんやろ、どうせ」
『そうやけどどうせ言うな』
「めちゃくちゃ寂しいって顔に書いてたで」
『…急に電話しても迷惑じゃないと思う？』
「迷惑なんて思うやつか？むしろ喜んでいつもより1オクターブぐらい声上げてくんで、きっと」
『誠也くんのことなんやと思ってるんよ』
「ほんで？電話するん？せえへんの？どっちなん？」
『……え？今？』
「当たり前やん」
『望の前ですんの？』
「前ちゃうくて横な」
『そんなことどうでもいいねん』
「お前が掛けへんのやったら俺から掛ける」
渋滞で車が止まったのをいいことに、自分のスマホを取り出して本気で誠也くんの番号を探し出す望の手を慌てて止めた。
『わかった！わかったから！掛けるから！望は運転集中して！』
望にスマホを返して、自分のスマホの一番上にある誠也くんの番号を開いてひとつ深呼吸。
普段ならなんてことないのに改めて電話するのってなんか緊張する。よくわからん緊張からくる喉の乾きを潤すためにミルクティーに手をつけてみたけど、飲み物を流し込んだって緊張は変わらんかった。
「はよ掛けぇや」
『わかってる、今掛けるもん、』
なぜか震える指で誠也くんの番号をタップすると、少し間を置いて聞こえてくるコール音。
ていうか、なにも考えずに掛けたけど、今電話しても大丈夫やったんかな。出られへん状況とかやったら申し訳ないな。
「出えへんの？」
『んー、もしかしたら忙しいんかも？』
少し長めに続くコール音に、やっぱり無理やったかなって諦めて電話を切ろうとしたとき、コール音が途切れて誠也くんの声が聞こえてきた。
「もしもし？A？」
『あ、出た、』
「出たってなんやねん(笑)」
『あ、うん、あの、ごめんね？急に掛けて。忙しかったやんね？』
「いや、大丈夫。運転しとったから出れられへんかっただけやで。どしたん？」
『あ、そうなん？今電話してても大丈夫？』
「大丈夫やけど。なに？ほんまにどうした？なんかあった？」
『あー、いや、うん、なんもない、ねんけど、』
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
