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電話越しとは言え、"寂しい"って直接誠也くんに言うのはやっぱりどこか恥ずかしくて、ごにょごにょ言い淀んでると、横目ではよ言えって訴えてくる望。わかった。わかったからあんたは運転集中してて。
「A？大丈夫か？ほんまになんかあったんやったら言いや？」
『あ、あのー、えっとー、』
「うん、どうしたん？」
電話越しの誠也くんの声がいつもの何倍も優しくて。それだけで、ああもう素直に甘えちゃってもいいかなって思えた。昨日淳太くんとも約束したし。もうどうにでもなれ。
『あのね、せぇやくん、』
「ん？」
『えっとね、せぇやくんいなくて寂しいからね、早く帰ってきてほしいな〜、……なんて、』
「……はぁぁ、」
『あ、ごめん！そんなこと言われてもって感じやんね！大丈夫！どうせ明後日には戻ってくるもんね！っていうかあたしのおうちであって誠也くんのおうちじゃないのに帰ってきてって変な話やんね！ごめん！忘れて！』
「明日」
『え？』
「夜にはなると思うけど明日絶対帰るから。それまで待っとける？」
『え、でも明後日って言ってたやん、』
「かわいい彼女に寂しい思いさせてんのにほっとくやつおらんやろ。ほんまは今すぐにでも帰りたいぐらいやのに」
『ほんまに？いいの？』
「ええよ。俺もはよAに会いたいもん。でも明日までは帰られへんから。ごめんな」
『あ、いや、ありがと、ございます、』
「あと、あれやで。俺もあの家、ちゃんと自分の家やと思ってるからな。俺にも"帰る"って言わせて。いつだってAのおる場所が俺の帰る場所なんやから」
『……ねえ、もう、ほんま、そういうとこやで、誠也くん』
「どういう意味やねん(笑)」
『おいしいご飯作って待っとくね』
「ん、ほな俺もう行かなあかんから切るな。ほんまは切りたないけど(ﾎﾞｿｯ)、」
『ん？ごめん、最後聞き取れんかった』
「大したことちゃうからええよ。ほな明日な。ちゃんと暖かくして寝えや」
『ふふ、誠也くんもね。ありがと。ばいばい』
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作者名：てと | 作成日時：2023年1月29日 17時
