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ソファから立ち上がり、すえざわくんから少し離れたところで電話に出ると、電話の向こうの望はめちゃくちゃ慌ててる様子で。改めて見えた外の様子に不安感は募っていくばかり。
『もしもし？のんすけ？』
「A！？出られへんくてすまん！大丈夫か！？」
『ん、とりあえずは。でも外出られへん、かも、』
「今日どこやっけ？」
『○×スタジオ』
「照史、どんぐらいで着く？」
「あそこやったら2〜30分あったら着くんちゃうかな。A、待てるか？」
『照史くんも一緒なん？』
「照史が車出してくれるって」
『のんすけ運転できひんもんね(笑)』
「無理すんな」
『ん、ごめん。照史くん、お手数掛けますがお願いします』
「なるはやで向かうからもうちょっと待っときな？」
『ありがとう』
望がすぐに折り返してくれたこと、照史くんと一緒に迎えに来てくれること、全部に安堵して少し不安感が薄れた、気がする。
電話を終えて振り返ると、もういないと思ってたすえざわくんはまだそこに立っていて。
『あれ？』
「ん？どうしたん？」
『もうすえざわくんいないと思ってました』
「俺そんな薄情なやつちゃうよ(笑)」
あ、笑うとかわいい。
初めて見た笑顔は、その少しキツそうな見た目とは違ってすごく柔らかくて。目元をくしゃくしゃにして笑う顔がかわいいと思った。
「迎え、来てくれるん？」
『え？あ、聞こえてました？』
「全部では無いけど、まあ要所要所？」
『友達も仕事終わったから迎えに来てくれるらしくって。30分ぐらいで着くから待っててって』
「ほか。よかったやん」
『すえざわくんはこんなとこいていいんです？まだお仕事残ってるんでしょ？』
「まあ残ってるけど、他のメンバーが撮ってるから俺は今は休憩中」
『ああ、なるほど』
そっか。全部が全部、全員で撮るわけじゃないもんね。何人かに分かれて撮ったり、個人個人で撮ったり色々あるもんね。なるほど、グループになるとそういうこともあるのか。
「ふは、めっちゃ百面相やん(笑)」
『そんな笑わなくてもいいじゃないですか』
「何にそんな納得したん？(笑)」
『あたしには無い世界やな〜と思って』
「なにそれ(笑)」
『そんな笑います？』
「Aちゃんてもしかしてめっちゃおもろい子ぉやったりする？」
『え、そんなん言われたことないですけど』
「うそやん、絶対みんな言ってないだけで思ってるで(笑)」
『そんなん思うのすえざわくんだけです』
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作者名：てと | 作成日時：2022年11月21日 23時
