アルストロメリア (ページ26)

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『次いつ会えるかな～？たいちぇくん知ってる？』

「いつやろ？俺らもスケジュール知るのギリギリやからなあ」

『まあ撮影始まったら会うしいっか』

「一緒のドラマ出るってどんな感じ？」

『んー、まだ一緒に撮ってないからなんとも言えんけどなんか変な感じ。だって誠也くんおんねんで？絶対しばらくの間あたしソワソワすると思う』

「やっと一緒に仕事できるって誠也くんめっちゃ喜んどったで(笑)」

『ええ、なにそれ初めて聞いてんけど。そんなん言うてなかったのにぃ』

恥ずかしって顔を真っ赤にするAちゃんは世界一かわいいと思う。表情から誠也くんへの好きが溢れ出てるし、こんな顔を引き出せる誠也くんが正直羨ましい。

「めっちゃ派手な2人やな(笑)並んで歩いてたら目立ちそう(笑)」

『並んで歩くことないから大丈夫やもん』

強がってそう言うAちゃんやけどその表情は寂しそうにも見えた。そうやんな。堂々と並んで街中とか歩きたいよな、普通。それを許されへんのがこの職業の辛いところで、お互いそれをわかっててそれでも一緒にいるのを選んでるんやからほんまに心の底から好きなんやろうなあと、そんな相手がいることが羨ましく思う。

『あ、天使の羽』

そう言ったAちゃんが俺の襟足の白くなってる部分を触るから擽ったくて思わず身を捩る。

『あ、ごめん』

「ちゃうちゃう。ちょっとくすぐったかっただけ(笑)」

『あ、なんやよかった。触られんの嫌なんかと思った』

「Aちゃんに触られて嫌なやつなんかおらんよ」

『え～なにそれたいちぇくんやらし～』

「え！そういう意味ちゃうって！」

『ふふふ、知ってる(笑)』

「も～からかわんといて」

『へへ。あたしねぇ、たいちぇくんの天使の羽好きやねん』

「え、待って、今のめっちゃドキドキした」

『なんでよ(笑)』

「Aちゃんに好き言われたらドキドキするよ、そりゃ」

『たいちぇくんがドキドキしてくれるならお姉さんは満足です』

「もー！俺本気やねんけど？」

『ふふ、ありがとう(笑)』

憧れの先輩と憧れの女性。2人はほんまにお似合いで、俺はきっと、誠也くんの隣で笑うAちゃんの笑顔が好きなんやと思う。だから2人の仲を邪魔する気もないし、奪おうとかだって全く思ってない。かわいい弟のまんまでいい。
ただ、好きな気持ちだけはどうしても抑えられへんから、どうか諦めがつくその日まで、大好きな2人にだけはこの思いが気づかれませんように。