26.君のため僕のため僕らのため ページ27
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不定期で出させて頂く女性ファッション誌のお仕事。普段はソロでの撮影が多いんやけど、今回は夏休み特別と題して人の少ない海辺で水着デート企画。
そして何を隠そう、そのお相手がなんと、
『これほんまに普通に海楽しんじゃっていいの？』
「ってさっき言うてはったやん。ちゃんと人の話聞いてた？」
『聞いてたよ！でもほんまになんも気にせんでいいんかなって思うやん！』
「目線ほしい時は声掛ける言うてはったし大丈夫ちゃう？ほら、行くで」
『あ！大ちゃん海の家！焼きそばあるよ！あとで食べよ！』
「こらこら。1人で行かない。デートやねんからちゃんと隣歩いてください」
お相手に選ばれたのは西畑大ちゃん。
なんでも、"リアル同級生のドラマ共演"というエモさが相当刺さったらしく、スタッフさん満場一致で大ちゃんやったらしい。
『これはあれなんかな』
「ん？」
『秀吉と寧々としてデートしたらいいんかな？それとも西畑と白坂としてデートしたらいいんかな？』
「そりゃ西畑と白坂やろ」
『あちゃー。やっぱそうかー』
「Aとデートとか久しぶりやな〜」
『ちょ、誰が聞いてるかわからんねんからあんまおっきい声で言ったあかん！』
「あんたの方が声でかいわ。ほとんど人おらんしスタッフさんも離れてるし大丈夫やろ」
『ほんまに？こんなことで過去の恋愛流出とかいややで』
今では良きお友達の大ちゃんやけど、高校時代に実はお付き合いしてた初めての彼氏ってやつ。……大ちゃんはどうか知らんけど。
今でもお友達として仲良く出来てるのは、何か原因があったとかではなく、お互いのことを思って別れることを選んだから。10代でまだまだ子供やったあたしたちには、別れることでしかお互いを守る術がわからんかったんやと思う。
このことはもちろん誠也くんは知ってるし、大ちゃんも現在の彼氏が誠也くんなのを知ってる。
「海とか久しぶりに来たな〜」
『ほんま？あー、でも確かにお仕事で来るのは久しぶりかも』
「仕事でってことはプライベートではあるん？」
『だってほら、誠也くんなにかにつけてすぐ海行くし。東京でも大阪でも。誠也くんのおうち遊びに行った時も結局sena様のおさんぽで海行ったしなあ』
「せなさま？」
『誠也くんちのわんちゃん』
「様付けなん？(笑)」
『当たり前やん。すえざわさんちのわんこやで。一般家庭のわんことちゃうねんで』
「ようわからんけど(笑)」
『なんでわからんのよ』
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作者名：てと | 作成日時：2022年9月3日 5時
