次は無いから ページ41
気をつけろぉ! と頭の上から声が降ってくる。
酒の臭いをよくさせた男の人が私を睨み付けた。
「やだな…」
「あぁ?」
「…お酒、ホドホドにした方がいいですよファスナー開いてるのに気づかないくらいですから」
と、ありもしないことを言ってその人を撒いて二人の背中を追う。嘘も方便。
ほんとはなんとなく寒い。ずっと寒かった。
でも、みんなといるとすごく暖まった。
「(あれ?)」
その背中を見ているとあったかい。
きっと前に立つ人が逞しいからだと思う。
「(…どこ行ったかな)」
ぞろぞろと人波の中立ち止まる。
気がついた時には迷子だった。
「Aちゃん! タケミチくんが…!!」
路地裏を走っていた。
吐いた息が白く凍った。
頭の中は、冷めていた。
「
_____、
その路地裏に吸い込まれた、怯えたような小さな背中がひどく懐かしい気がした。
「Aちゃん! 大丈夫?! 怪我は?!」
「タケミチは?」
「タケミチくんは大丈夫、気を失っているだけみたい…」
ああ、そうだ。迷子になったんだっけ、私が。
それで、最初にヒナちゃんを見つけて武道が…
「…っ、う」
「タケミチくん!!」
知らないけど知っている。ような気がする男の人達に絡まれていて、怒鳴り散らされて、胸ぐらを掴まれて、手を上げられて、
「タケミチ。」
「A…?」
私は、武道の前に正座をして、深く頭を下げた。
「ごめん、」
「Aちゃん 顔上げて…?」
「私が迷子になんてならなければよかった、こうならなかった。二人を見失わなければ」
「…Aは悪くないよ」
「__もう、二度と。二度と大事な
気持ちが冷え込んでいくのが分かる。
ゆっくり、元の形に戻っていくみたいだった。
「Aちゃん こんなにほっぺ冷たくなってる!」
ほっぺたにあったかいものが触れた。
ヒナちゃんのマフラーが首に巻かれる。
「タケミチくんもそのほっぺどうにかしよ!」
武道と一緒に手を引かれる。
ヒナちゃんは強いなぁ…。
でも今の私には、そのヒナちゃんの優しさはすごく心に染みた。
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジヘイ(プロフ) - 怜さん» ありがとうございます……!!更新頑張らせて頂きます!!! (2021年10月15日 20時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 好きです(((更新お待ちしています!! (2021年10月14日 21時) (レス) @page41 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
ジヘイ(プロフ) - ごりらさん» ヴッッッありがとうございます……!!応援に報いることができるように頑張ります!!! (2021年9月20日 15時) (レス) id: 2c04bafbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ごりら(プロフ) - え??めっちゃ好きです…タイプ…。応援してます!! (2021年9月19日 18時) (レス) id: 0c5c330aa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ジヘイ | 作成日時:2021年9月10日 10時