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9(リバーススリー) ページ10

宵音side


コミュ力の無い私の代わりに質問して呉れる事に答えて居ると、

階下から銃声がした。

宵「!!?」

驚いた瞬間、何者かの怒鳴り声と共にまたバンっと音がして、隣のテェブルの、片付ける前のグラスが粉々に砕けた。

まるでテレビの中の出来事みたいだ、と頭の片隅でのんびり考えつつ、現場の1番近くに座っているエリスちゃんを抱き抱えてテェブルの下へ潜る。

手が届く範囲は此処までだ。

大人は自分で何とかして貰うしかない。

と其の時、テェブルの下から、複数人の黒い脚が見えた。

何時の間にか、騒ぎの声は聞こえなくなっている。

(此れは、占拠されたか・・・?)

お利口に黙っていたエリスちゃんに、〔騒いだら死ぬからね〕と小声で念を押して、大人しく、テェブルから這い出る。

相手は5人。

全員黒尽くめで、重火器を構えている・・・恐らくはテロリストだろう。

(やばい、凄い)

此んな事現実に在るんだ、なんて、ぼんやりと考えてしまう。

(駄目だ、何考えてんだ、私)

其れ処じゃ無いのは判って居るのに、気持ちの高揚が抑えられない。

まるで小説の中みたいだ、なんて。

頭の中の、冷静な、狂った部分が、恐怖より興味を勝らせて居る。

幾ら本が好きだからと云って、此れは無い。

本物の、只の阿呆だ。

気持ちを抑え込み、如何すべきか考え、

(1人でも足止め出来たら)

もし1人倒れた事で、ちょっとでも良い、相手の計画を乱せたら。相手の心にほんの少しでも動揺を誘えたら。

少しでも、救助の手伝いになれるかもしれない。

(使うか・・・能力)

決意し踏み出した瞬間、場の空気が変わった。

そして、瞬きを3回した時には、目の前の敵は、声を上げる間も無く、取り落とした銃を自らの血液で濡らして、崩れて居た。

感じるのは、武道なんてあまり知らない私ですら判る、鳥肌が立つ程の殺気。

中也さんからだった。

其の殺気は、眼を瞑る間も無く私を絡め取り、

中「扨(さて)、何か言い訳は在るか?此の程度で俺等を倒せると思われるとは、随分舐められたモンだなァ?」

其の顔は、怖い位本気なのに。

何故か少し、淋しさがよぎるような、裏切られた苦痛みたいな、そんな雰囲気を醸し出す其の表情が、堪らなく眼を背けたかった。

宵「待っ、ぇっと、其の、如何云う・・・ん"ん"っ」
声の震えを堪え、

「助けて頂いた?のは、有り難いんですが・・・質問の意図が、判りかねます。・・・貴方方は、狙われる理由がお有りなんですか?」

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作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時

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