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中也side
宵音の方から話題を振られる事が無いので、一方的な質問タイムに成って居たその時。
一階の辺が少し騒がしくなって、
昼間のデパートに似合わない、火薬の弾ける音。
俺は唐突に、能力を纏った右手を横、吹き抜けフロアの部分に突き出した。
階下から飛んできた弾丸は、俺の手に突き刺さる寸前で静止する。
中「あァ?」
もう一発。
隣のテェブルのグラスが弾け飛び、宵音が「エリスちゃん!」と叫んで、エリス嬢を抱えテェブルの下に潜る。
が、其処で、黒服の男達に周りを囲まれた。
「動くな!」
黒光りする重火器を構えるジャキッという音が、余命宣告の如く響く。
此んな奴等、其の気になれば秒で片付けられるが、此処で本気で暴れるのは色々と不味いので、取り敢えず両手を挙げる。
テェブルから這い出して来た宵音をチラリと見た。
其の顔は・・・まるで興奮を抑え切れないように、ほんの少し、ニヤニヤして居た。
そして、彼等に向かって一歩、踏み出す。
其の背中を見て、確信がいった。
中(・・・そォ云う、事かよ)
何処と無くぎこち無い視線と態度。
其の割に、用事が在るのに態々誘いに乗り、何だかんだで親しげで。
今の状況にも素早い冷静な判断、と、余りにも動じない。
在ろう事か、してやったり、と云う顔で、敵に歩み寄る・・・。
特に後者二つは、一般市民と考えるには無理が在る。
そして俺達は、ポートマフィアの重役。
此れで疑わない方が如何かしてんだろ。
危惧して居た事態が起こった訳だ。
・・・此れで、何故か少し、何かが淋しく感じる俺も、如何かしてると思うが。
ーと、此処までで0.5秒。
(敵相手なら、力を隠す必要もねぇな)
宵音が次の二歩目を踏み出す前に、俺は動いた。
さっきの宣言通り、数秒で抹殺して見せる。
此のフロアが丁度空いて居る時間帯で良かった、と思いつつ、宵音の胸倉を掴んだ。
中「扨(さて)、何か言い訳は在るか。此の程度で俺等を倒せると思われるとは、随分舐められたモンだなァ?」
言いつつ、不思議で仕方ない。
何故直ぐ殺さなかった?
敵に容赦は出来ねぇタチの俺が。
其れに何だ、此の空虚な感じは?
言い得ない哀しみみたいなモンは。
裏切られたショック?
失望してんのか、此奴に?
情が移ったか。
・・・情けねぇ。
心中で自問自答して居る俺を見る彼女の目は、ただ驚きに見開かれていた。
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謝罪しといて早速守ってません。
ごめんなさい(汗
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作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時