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宵「犯人確保完了」
太「はいお見事」
其れから何事も無い儘日にちが経過し、とうとう仮入社1週間目、詰まり最終日の最後の仕事を終えた。
帰路を辿りつつ、宵音は太宰に訊く。
宵「太宰さんから見て、私及第点行ってると思います?」
太「嗚呼。宵音ちゃんの合格は私が保証するよ。処で・・・如何したの其の脚?」
宵音は何時の間にか、片脚を引き摺って居た。
先程通報人に礼を言われた時は間違い無く何とも無かった。
宵「犯人捕まえた時捻りました」
太「え?でも先刻迄普通に歩いてたよね?」
宵「あのお婆さんに心配かけたく無かったので。あれ以上心労重なったら倒れますよあの人、絶対」
太宰と宵音は、先程のあの常にプルプルしている、オーバーリアクションのお婆さんを同時に思い描いた。
太「うぅ〜ん・・・でも我慢するのは駄目だから。与謝野女医に応急処置を頼・・・いや、矢っ張り私がやってあげよう」
宵「はい、有難う御座います。因みになんで与謝野さんは駄目なんですか?」
太「悍ましいからあんまり口には出したくないけど・・・兎に角、切り刻まれたく無かったら云う事聞いて」
宵「?判りました」
社に着いて直ぐ宵音が包帯を巻いて貰っていると、福沢が現れた。
皆一斉に頭を下げる。
福「太宰、入社希望者は如何だ」
太「気が効くし、常に冷静で頭も回ります。また、善意もある。探偵社員に打ってつけですよ」
福「そうか・・・」
福沢は暫し黙考した後、顔を上げ、宵音を射抜く眼力で見た。
福「合格だ。太宰に一任する」
見守って居た面々が、おぉ〜、とどよめく。
宵「有難う御座います」
谷「お目出度う〜」
敦&賢『お目出度う御座います!』
太「いやあ、君みたいな可愛い子が入って来て呉れて嬉し(国「未だ云うかお前!」
与「ヘェ、合格したって?良かったじゃないか」
騒ぎを聴いた与謝野も、隣室からやって来た。
鏡「・・・お目出度う」
と鏡花も言ったが、未だ何か言いたそうな顔を見て、宵音は「如何しました?」と訊く。
鏡「・・・私の方が下。だから先ず敬語を止めて」
宵「貴女のが先輩なんだけど・・・判った」
流石にあの素は拙いから、喋り方はノーマルで行こう、と1人心中で考える宵音。
鏡「・・・それと・・・A姐様って呼んでも良い?」
事情を知る国木田、谷崎、敦、太宰は其れを聴いてほのぼのとする。
【お近付きの印か・・・】
宵「別に構わないよ。改めて宜しくお願いします、皆さん」
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作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時