検索窓
今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:59,012 hit

28 ページ28

中也side


宵音に布団を掛け、唯一残る机の上の帽子を掴んで、カメラを一瞥してから部屋を出る。

中「・・・世話ンなったな」

見張りに声を掛けて、其の儘ビルに戻った。

直ぐに呼び出され、首領の元へ向かう。

コンコン。

中「失礼します」

森「嗚呼中也君、お帰り。無事で良かったよ」

中「只今戻りました。御心配有難う御座います。・・・此の度は自分の不注意で仕事に支障を来して仕舞い、済みませんでした」

森「嗚呼・・・。全く、気が早いのは君の悪癖だよ。関係の無い一般市民を殺して仕舞い掛けるなんて・・・最近は治ってきたかと思ったのだがね。今回は随分と感情的だったじゃないか」

返す言葉もねぇ・・・。

中「本当に済みません」

森「まぁ宵音さんは気にして居なかったようだけれど、次からは気を付ける様に」

中「はい」

部屋を出た後、俺は直ぐに或る人物を探した。

中「ーあァ居た、おい樋口」

樋「な、中原幹部⁉何の御用でしょうか」

緊張した面持ちで答える樋口。

中「お前に相談があるんだ」

樋「か、幹部が?私に⁇」

先刻から、俺の頭の中では首領の一言がずっとぐるぐるして居た。

ー感情的、か。

・・・言い訳に聞こえるかも知れねぇが、あれがもし宵音じゃ無けりゃあ、あそこまで早とちりしなかったんじゃねぇか、という、妙な確信が在った。

・・・彼奴と一緒だと、どうも調子が狂う。

中「樋口の経験を聴きてぇんだ。なんつーか・・・其奴と一緒に居ると、自分っぽく無くなるっつーか、冷静で居られなくなるっつーか。其奴が話してるだけで、なんか・・・兎に角、其奴見てると変な気持ちになんだよ。・・・此の感じ、知らねぇか?」

だから、“マフィアに向いて居ない”と云われる程感情豊かな樋口なら、此の変なのを止める方法が判るかも知れない、と思ったのだ。

因みに、何故かは知らねぇが、姉さんにだけは絶対に話さない方が良い、と本能が云って居た。

ー話し終えて樋口を見ると、樋口は[信じられない]と云う様な表情。

なんか無性に腹立つな・・・。

暫く黙って居た樋口は、唐突に顔を上げ、

樋「お目出度う御座います‼」

中「は?」

困惑する俺を余所に、らしからぬ熱い口調で語り始めた。

樋「判ります、本当に良く判りますとも・・・!幹部、其の感情はですね・・・・・・恋です!」

中「んなァッ‼?ッなんっ」

何でそうなんだよ⁉

樋「其の方と話してる時、テンションが上がるしょう?」

・・・そうかも。

29→←27



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灰翠玲 x他1人 | 作成日時:2020年10月25日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。