58 【幸村】一線 2 ページ8
〜貴方side 〜
『え、うそ?』
精市に言われて手鏡で口元を確認すると、
唇の端っこが切れていた。
痛くないから全く気づかなかったけど、
温かいお茶を飲んで血管が緩んで血が出ちゃったのかな。
それを意識した瞬間に先ほどまで微塵も感じなかったピリピリとした痛みが口元を覆う。
幸「大丈夫?見せてみて」
『え』
いや、唇を男の人にまじまじと見せるってとてつもなく恥ずかしいんだけど、しかも大怪我とかじゃないし。
どうしようかと焦っていると,頬に温かい感触を感じた。
精市の右手が、私の頬に触れてクイッと顔を引っ張る。
幸「こっち向いて」
『う、うん』
ビクビクしながらそちらに顔を向けると、
傷の様子を確認した精市が近くの棚から何か取り出した。
幸「乾燥すると傷が広がって治りにくくなるから、保湿すると良いよ」
『あ、そうなの?』
精市は手に取ったリップクリームを私の唇に滑らせると、
傷口だけにチョンチョンと薬を重ねて塗ってくれた。
『あの、ありがとう。なんかこんな手当てまでしてもらって…』
幸「うん…」
なぜか手当が終わっても私の顔に手を添えたままの精市とふと目が合う。すごく近いし、そんな状況で訪れる沈黙に耐えられずギュッと目を閉じた。
そして目を閉じた瞬間に自分の犯した過ちに気づく。
『(…ヤバ!目のやり場がなくて思わず目閉じちゃったけど、この状況で自分から目閉じるとか、なんか…)』
もうどうすればいいのかわからない、そう思った瞬間に。
…唇に柔らかいものがキュっと押しつけられた。
首元に感じる精市の髪の感触と、明らかに近くで香る柔軟剤みたいな柔らかい香り。
そして鼻のあたりで感じた彼の吐息。
すぐにキスされてるんだとわかった。
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キャメル(プロフ) - まゆさん» まゆさん、ありがとうございます!(;_;)その言葉で私もお仕事頑張れるし、ほんとに嬉しいです…これからもどうぞよろしくお願いします^_^ (2022年10月31日 21時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - おもしろいです。更新楽しみに仕事頑張れます(o^^o) (2022年10月31日 19時) (レス) @page49 id: d99fc6d444 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - 小筆さん» 初めまして、小筆さん!!そんなそんなありがとうございます!!そういうふうに言って頂けるだけで本当に嬉しいです(^^)これからも楽しんでもらえる様に頑張るので見守って頂けたら嬉しいです❣️ (2022年10月18日 22時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
小筆(プロフ) - いつも見させて頂いてます!大好きなお話なので、これからも頑張って下さい!ずっと応援してます! (2022年10月18日 21時) (レス) id: fe225f18e6 (このIDを非表示/違反報告)
キャメル(プロフ) - こかさいだーさん» 詫びようとする幸村くんいいなと思って書いたので反応してくれて嬉しいですw(^ ^)!!!!詫びすぎず詫びなすぎず頑張ってほしいですね🤭 (2022年9月29日 15時) (レス) id: 0837b0830d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:研究員 | 作成日時:2022年9月21日 20時