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雲ひとつない晴天、なーんか面白いこと起きへんかなぁ。なんて、屋上から中庭を見下ろす。
「お、カップルおるやん」
「え〜、どれどれ?」
横にいた顔のでかい大先生が、野次馬の如く顔を覗かせる。
ほいゾム。と自販で買ってきたであろう飲み物を手渡してくれたので、顔がでかいことは訂正しておこう。
他のメンバーは忙しいらしく、生徒会メンバーも今日は俺と大先生の二人しかない。
「へ〜、女の子結構かわええやん」
「あ、男の方…あれ同じクラスやわ」
「マジで?誰?」
「小林悠人、テニス部やったと思うけど」
ほーん?と大先生が何か考えるような素振りを見せる。
視線を動かせば、中庭の自販機裏にも一人。
どうやら俺らと同じ野次馬がおるらしい。
「あの子が小林のこと好きやったら結構面白いんやけどなぁ」
「どの子?」
「あれ、自販の裏にいる子」
俺の指差した方を見た大先生は、あっ!!!と大きな声を出す。
なんやねん煩い。
「…あの子、小林の彼女やん」
「え?!」
「確かあの子、三組の宮本Aちゃんやろ?可愛いから俺目ぇ付けてたんよ」
彼氏持ちやからまだ手出してへんけど。
とか何とか言ってるけど、さり気に屑発言したなコイツ。
てことはコレ、修羅場なんとちゃう?
小林と女子の楽しそうな様子は伝わるが、此処からだと彼女の方の様子は窺えない。
「…なぁ大先生。もう俺らここに永住でええんちゃう?」
「確かに旧校舎の屋上なんて、全く人来へんしなぁ」
「浮気を目撃する本妻、なんて面白いもんまで拝めるしな」
「本妻言うなや…!」
と話してるうちに展開は進んだらしい。
裏切られた本妻こと、宮本Aは裏庭を後にする。
……なーんか面白そうなや。
「俺ちょっと行ってくるわ」
「え〜、何処に?」
「本妻の泣き顔拝みに」
「ぐぅ屑やん…!」
いやいや、大先生には負けますわ。
なんて、軽口叩いて屋上を後にした。
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「何処行ったんやろ」
無計画に歩き回っていた時、話し声…いや、怒鳴り声のようなものが聞こえてきた。
『東○と唐○えりかの話題があるだけに、タイムリーなんだよ!!!』
どうやら声はこの空き教室かららしい。
チラッと廊下から教室を覗くと、そこには泣くどころか激怒して怒鳴り散らす本妻の姿が…。
なんや、結構逞しいやん。
「んふ」
おもろいもん見てもうたわ。ホンマあの屋上、大当たりやな。
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悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです!続きが気になるので更新いつまでも待っています! (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します!このお話大好きです!更新待ってます! (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください! (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ | 作成日時:2020年3月27日 22時