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今年の文化祭テーマは"世界旅行"。
それぞれの教室は、各国をモチーフに飾り付けられるらしい。
食堂のテーマ国は日本。勿論、現代ではなく昭和や大正あたりを再現するらしい。
「誰がアイデアある?」
『窓を外して、障子を取り付けるのはどうですか?茶道部からなら借りれると思うんですけど』
「おっ、ええな。顧問は確か…ぺ神先生やんな?ちょっと確認してくるわ」
適当に思いついたアイデアの受けはどうやらよかったらしく、リーダーのゾムさんは職員室へと走っていった。
窓の外を見ていたが、することもなく。掃除でもしてようかな。と顔を上げる。
ロッカーから箒を出そうとしたとき。
スッと、白くて細い手が私の手に重なる。
「俺もやりますよ」
振り向けば、同じグループのショッピさんが立っていた。
『ほんと?ありがとう』
はい、と箒を手渡す。
他の一年生や二年生は突っ立って喋ってるのに、随分周りをよく見ている。流石生徒会役員だ。
なんて感心する。
……にしても、女の子みたいに華奢な手だったなぁ。
黙々と掃除をする彼を見ていると、
「なんすか、ジロジロ見て」
『あ、いや…。気が利くなぁ、って思って…』
「自分から掃除し始めたりして、行動できる人の方が気が利きますよ」
あれ、もしかして今褒められた?
それ以降また視線を逸らされてしまい真偽は不明だが、多分褒められた…気がする。
ショッピさんが掃除を始めてから他の生徒も手伝い出しちゃうんだから、一年生でも生徒会役員の影響力はすごいらしい。
まぁ確かに、気が利くし顔も綺麗だし、役員はみんな勉強得意、って聞くし、人気な理由が分からなくもないが…。
「茶道部から許可もらったで!…てあれ、掃除してくれてたん?」
扉の開く音と同時にゾムさんが帰ってくる。
彼は部屋の様子を見て目を丸くした。
「ショッピくんが指示してくれたん?俺なんも言ってへんかったのに、有能なメンバーやな」
「A先輩がやり始めたんで、みんなで手伝っただけっすよ」
そう言ってショッピさんは私を指差す。
え、私?
「宮本さんがやり始めてくれたん?」
『え、いや…私というか、ショッピさんのお陰でみんながやってるようなものなんで』
突然話を振られ戸惑う。
どんだけ有能な後輩なんだ…先輩を立ててくれようとするなんて…。
ゾムさんのせいで生徒会のイメージが悪かったが、どうやらそうでもないらしい。
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悠(プロフ) - 自分が設定してた自分の名前と彼氏の名前が一緒でややこしい事になってましたw奇跡。小説めっちゃ面白いです (2021年5月19日 23時) (レス) id: 7e4efb4011 (このIDを非表示/違反報告)
ゆだ - 面白いですね (2021年3月1日 17時) (レス) id: e2d5e79f0c (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - コメント失礼します。すごく面白いです!続きが気になるので更新いつまでも待っています! (2021年2月2日 21時) (レス) id: 4b52fa3010 (このIDを非表示/違反報告)
カコ(プロフ) - コメント失礼します!このお話大好きです!更新待ってます! (2020年11月3日 0時) (レス) id: e319902130 (このIDを非表示/違反報告)
ゴミ箱 - とてもいいお話ですね、読んでいて楽しかったです。更新はいつまでも待っています。頑張ってください! (2020年8月16日 10時) (レス) id: c162b9accc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこ | 作成日時:2020年3月27日 22時