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参話 ページ3

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さて、此処からが本番だ。
私の可愛い妹や弟達に絡まれる前に、素早く山を降りなければ。


茂「姉ちゃん今日も町に行くの?」

花子「私も一緒に行く!」

竹雄「えーーーッ?!」


そう意を決して一歩を踏み出すが、私を捕まえる腕は確かなようで案の定、秒で捕まってしまった。無念。


葵枝「だめよ。Aみたいに早く歩けないでしょう?」


母ちゃあん、と誰かの悲痛な声がする。この声を聞きたくは無かったのだ。ああ、なんとも良心が痛む。けれど仕方がない。

今の季節は冬で雪は足が軽々と沈む程に沢山積もっている。ただでさえ足場がない現在では私でも辛い道のりであるのだから。

離さない、とばかりに私に抱きつく茂と、ついていきたいと嘆く花子の頭を撫でながら先程からいじけている竹雄に目を向ける。


A「竹雄、出来る範囲で大丈夫なんだけど竹を切っていてはくれない?」

竹雄「そりゃあやるけどさぁ…一緒にやると思ってたのになあ」


そういえば遠回しに約束でもしていたような…?と、今更ながらに思い出し申し訳なくなる。また今度ね、と頭を撫でてやるとご機嫌になり、おう!と活きの良い返事を返してくれた。
なんとも素直で可愛らしい、私の弟である。

気をつけてね、と家族に見送られた私は漸く山を降りた。

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作者名:Ratte*らて | 作成日時:2019年8月16日 11時

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