カフェの店員さん (ページ8)

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いつもと同じ時間

いつもと同じカフェ

いつもと同じメニュー

でも今日はいつもより、特別な空間に感じる。

運送のバイトをしている「ハオさん」と、
いつもカフェで働いている「店員さん」は
同じ人物なわけで…

今目の前でコーヒーを入れている彼をじっくり見る。

不意にこちらに向けられた銀縁めがねの奥にある視線と私のしつこいくらいの視線が絡まる。

いつもなら、瞬時にそらすだけのそれが
なんだか今日は惜しく思えて、

顔が赤らむことを自覚しながらも、彼を見続けた。

すると、
少し困ったように眉毛を下げて静かに笑い、

『何かついてますか？笑』と小声で言う。

私は課題をしていた手を止め
「わたし、このカフェに出会えてよかったです」

と、伝えた。

さがっていた眉毛がふと上がり、

『それは、よかったです』といいながらもコーヒーを器用に注ぐ彼を見て、何を期待しているんだろうと自分にツッコミをした。

僕も出会えてよかった、なんて言葉が
聞けるはずもないのに。

「あの…また来ます！」

『はい。学校がんばってくださいね』

その笑顔ひとつで今日も一日頑張れることも伝わっていないと思うと、なんだか寂しい気分だけど…。

学校へ着くと既にハンビンは数名の友達に囲まれていたので、特に挨拶をするつもりもなく1番後ろの1番端の席へと座ることにした。

なのに、
わざわざ友達に何かを伝えると私の元へ駆け寄ってきた。

『ハオヒョンと友達になっちゃった』

「はい？なんで？！」

『昨日手伝ってそこから意気投合しちゃって。笑』

「コミュ力どうなってんの、変なこと言わないでよ？」

『僕達似てるところ多いですね、って話になった』

「似てる、ところ？」

私がそう聞くと机の横に立っていたハンビンは、私の隣の席に腰を下ろし、近づいてきた。

『うん、似てるところが多かったんだよ』

そう言いながら私の口元を触り、『パンのカスついてるよ』と言って笑って見せた。

その際周りからキャーと言う声が聞こえてきて、

「ちょっと！やめてよ！」とすかさず訂正をする。

『なんで辞める必要があるわけ？』

「ハンビンはモテるんだから…私なんかと噂されちゃ困るでしょ？」

私がバツを悪そうに答えると、あからさまに機嫌を悪くして口を尖らせながら言い立ち上がって

『Aは可愛いから』

そう言い、友達の元へ戻った。

初めて言われた可愛いという言葉に、不意にも少し胸が高なった。