カフェの店員さん (ページ7)

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7.ライバル登場 (b) ページ7

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(ハンビン side)

ずっと好きだった。

毎日教室の端の方で、

分厚くて難しそうな本を読んで、

チャイムが鳴ると名残惜しそうにカバンに入れる。

俺の周りには
キラキラしていて友達がたくさんいて、
俺に好意を寄せてくれている子も中にはいて、

充実してるはずだったし。

入っているダンスサークルだって
難しいパートを任されることも少なくないし、
ステージを開けば女の子たちが見に来てくれる。

遅刻をしてしまえば「出席カード書いておこうか？」
と何人かから連絡が来る。

「彼女つくらないの？」

Aとたまたまグループが同じになり、
話すようになって友達と思って貰えるようになってから

不思議そうな顔をしてたまに聞いてくるこの言葉。

目の前にいるAが好きなんだよ

と言えたら楽なのに。

こいつは毎回、俺じゃない誰かを思って楽しそうにしていて、そこに俺の入る余裕なんてなかったし

男友達の少ないAが俺を頼って「どうしたらいいかな？」と聞いてくるだけで何だか信頼されているんだと嬉しくなり、このままでいいと思っていたのに？

いざ、

Aとその好きなやつ？ってのが仲良くしてると

複雑である。

教授にAを呼んでくるように頼まれ、
電話をかけてもカトクを送っても返信は無い。

そこであいつの部室に向かっていると

俺と同じくらいの身長だけど、
ちょっと腰周りは細くて、
片腕だけまくった白いシャツがよく似合う

銀の縁の眼鏡をかけた男とAが一緒にいた。

そいつは優しい微笑みをしていて、

その目を見つめるAはいつもより頬を桃色に染めていて、真っ直ぐな目だった。

そう、これが

あいつの通っているカフェの店員だ。

こいつを直接見るのは2回目か。

こいつは俺の事なんて覚えていないだろうし、
そもそもAのことをどう思っているのかすら分からない。

教授の元へ向かったAを見送り、
横の店員とやらに挨拶をする。

ハンビン「こんにちは！Aの友達のソンハンビンと申します〜よろしくお願いします！」

ハオ「ジャンハオです。よろしくお願いします」

ハンビン「…名前」

ハオ「笑笑中国人です」

ああ、と言うと「大丈夫です、韓国語だいたい分かります」と俺に向けて優しく笑った。

荷物運びを手伝い、ハオヒョンの車の元へ行くと、荷物置きにはたくさんの本があった。

本が好きなんですと笑うこのヒョン。

手強いかもしれない。