5.読書部です ページ5
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午前中の授業を何とか終え、
上がる口角を抑えつつ何とか【読書部】の部室へ。
ジウン「何、そのニヤニヤ顔」
『幸せそうな顔って言って!』
ジウン「はいはい、それより卒論がやばくていつもの図書の受け入れの作業出来そうにないんだよね」
銀の縁のメガネをクイッとあげ、
チラチラと横目で私を見るジウンオッパ。
この顔は、何かを企んでいる。
『私に本を受け取りに行けと?』
ジウン「さすがA!物分りがはやい!」
『やだよー重いじゃん』
ジウン「今回はたったの30冊だから大丈夫!」
『30冊?重いじゃん…!』
ジウン「大丈夫、ダンボールでくれるし。中国人のお兄ちゃんが。」
『えー、、』
ジウン「はい、ありがとーー」
まだ承諾はしていないのに
ジウンオッパは私の肩をクルッと回転させ
部室から追い出してきた。
ひどい、
部長という権限を活かして、まるで自分の部屋のように使ってるだけなのに。ふん。
とは思いつつも、
今日は機嫌が良かったので仕方なく図書を運ぶことにした。
中国人っていうことは韓国語通じないのかな?
気まずいなー、、
受け取り場所の図書準備室へ向かうと、
そこにはもうダンボールを抱えた1人の男性がいた。
光が差し込み、彼を優しく包み込む。
ダンボールを抱える腕は、白いシャツを着ているが片方だけ腕まくりされていて、細いけれど芯の通った腕が見える。
この腕は…
「あ、また会いましたね」
『店員、さん?』
「今は店員さんというか、バイトですけど」
『え、なななんでここに?』
「運送のバイトです」
じゃ、運びましょうか。と当たり前のように廊下を進む店員さんの後ろを、ちょこちょこと着いていく。
首から掛けている名札には『ジャンハオ』と書かれていた。
確か…
『店員さんは、中国の方なんですか?』
ハオ「はい、よく知ってますね」
『名前…』
ハオ「あー、これね。」
店員さんは少しだけかんがえたあと
抱えていたダンボールを廊下の机にヨイショと置き、
ハオ「改めまして…。カフェの店員でもあり運送バイトでもあるジャンハオです。また会えてよかった」
そう言って私にめくっていない方の手を伸ばした
私は急いでその手を握り返して小さな声で『よろしくお願いします…』とだけ言った。
ハオ「名前は?」
『Aです』
ハオ「Aさん…いい名前だね」
少しだけ、握手していた手に力が籠った気がした。
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作者名:ミイ | 作成日時:2023年7月16日 21時