おやすみの前に (ページ15)

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文字で伝えるあいらぶゆー(翔也) ページ15

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「ねぇ、僕英語やばいから教えてくれない…？」

『私？いいよ』

「えっうそ！や、やった…！」

こんな会話をしたのは、1時間前のこと。

放課後の教室に2人残って、謎に目をキラキラ輝かせた彼と真面目に勉強を始めた

…はずだったのに

「もうやだ…わかんないよこんなの！」

『こら、投げ出さないで笑
　文脈で時系列を判断したらすぐできるから！』

「うぅ…なに完了形って、名前からしてやだ」

『もうちょっと頑張って！笑』

さっきまでの気合はどこに行ったのか、もう完全に飽きてしまった様子。

お腹すいたぁ…と見えないうさぎの耳を垂らしながらしぶしぶシャーペンを持ち直しもう一度テキストに顔を向けたけれど、

やっぱり嫌なようで顔を顰めている。

勉強が終わったら何かご褒美を買ってあげようか

木全くんが幸せそうに食べ物を食べてるとこ見るの、結構好きなんだよね。

『もっと楽しくなる勉強方法ないかなぁ』

「あっいや、今がつまらないわけじゃないよ？僕が嫌いなのは英語だけで…」

『あ、そうだ！手紙書いてみるのは？』

「手紙？アヤちゃんに？」

『習った構文も使えるし、なんでも好きなこと書いて！』

英作文の練習にもなるし、いい案じゃない？

木全くんのことも知れるし…なんて、これは個人的な気持ちだから言わないけど。

ぽかんとした顔をして少し考えたあとに、やってみる…！と木全くんに再び笑顔が戻った。

「…出会ってからずっと、ってなんて言うの」

『ん〜、ever since I met you とか？』

「えば〜しんす…」

まだ見ないで！と紙を隠しながら、なぜか恥ずかしそうにする彼。

頭を悩ませながら一生懸命に書いてくれて、やがて完成した紙をぎゅっと握りしめながら、

えぇ〜…とかやっぱり…と、なかなか渡してくれなくて。

「…声に出して読んじゃだめだからね、」

目をあわぜずに差し出された手紙には、

何度も書き直した跡のある3文。

" アヤちゃんへ

I have loved you ever since I met you.(出会ってからずっとあなたが好きです。)

Are you free next Sunday?(次の日曜日、暇ですか?)"

『…え？』

何度意味を頭で考えても勘違いしそうな文で

体温と心拍数がぐっと上がった気がした。

「…読めた？…えと、返事…聞かせて？」

震える手で待つ手紙越しに、

彼の耳が赤く染まっているのが見えた。

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