-2- ページ24
氷浦side
美濃道三中との試合に向けて練習するはずが、監督の謎のくじにより特訓免除となってしまった。
監督の発表した特訓内容の"守備を固めまくること"も分からないけど、
俺と岩戸が引いた[当たり]によってやることになった雑用にも何か意味があるのだろうか。
俺は水が出続けるホースを持ちながら、雷門中内を走り回っていた。
……ﾋﾟﾄｯ
氷浦｢うわっ｣
首筋に唐突に感じた冷たい固体の感触。
驚いて思わずホースを振ってしまい、その当てた人にバシャッとかけてしまった。
かかった本人は｢ごほっ？！｣と言ってからそれ以外は何も反応を示さず、
自分からポタポタと垂れる水の雫を見つめている。
慌ててホースを置き、びしょ濡れのまま突っ立っているAさんに俺が着ていたジャージを着せた。
氷浦｢ごめんなさい！大丈夫ですか？！｣
｢…………貴利名君、お疲れ様でございます…｣
手にスポドリを持ち、白いTシャツに雷門ジャージ(下)をした姿で立っているAさん。
濡れた髪を絞って水分を抜いた後、髪を耳にかけてから話し出した。
その仕草になぜかドキドキしてしまう。
自然と頬が赤くなった気がする……。
耳にかけた中から逃れた一房の髪がするっと顔にかかり、
それから目を逸らすと下着が透けていて柄が見えてしまう。
思わず後退るとそれに気づいたAさんは少し考えてから
ニヤリと笑って俺に近づいてきた。
｢どうした？もしかして……見えた？｣
氷浦｢っ……！ち、近い、です……Aさん｣
遂に背中が壁に付き逃げ場が無くなった。
俺よりAさんの方が身長が小さいせいで、よりいっそう見える谷間。
また目を逸らすと何かが俺の顔に近づいてくるのが気配で分かった。
条件反射で咄嗟にギュッと目を瞑る。
そしてその何かは俺の頬に軽く押し付けられた。
氷浦｢っ………え、冷た…い……？｣
｢へへへ、びっくりした？怯えさせるつもりは無かったんだけどな！｣
はい、と俺の手にスポドリを握らせてニコッと笑う。
俺から距離をとり、ジャージのジッパーを上まで上げてからまた俺を見る。
｢邪魔しちゃって悪いな！これは洗って返すから！頑張れよ！｣
そして最後に手を振ってここから走って去って行った。
その姿が見えなくなると身体の力が抜け、思わずその場に崩れた。
赤い顔を冷まそうと手をパタパタさせて緩く風をつくるが、
先程の…その……あの光景が頭に蘇(よみがえ)ってくる。
…………心臓が、煩い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても楽しく読ませて頂きました！今後とも応援しています！頑張って下さい！(*´ω｀*) (2021年11月8日 9時) (
レス) @page38 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 雪華さん» またまたコメントありがとうございます！他の作品でもコメント下さった時に言ったやつと、最近はモブサイコ100とか見てますよ！ (2019年3月7日 19時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか？ (2019年2月18日 22時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - メープルあんり（＾ω＾）さん» コメントありがとうございます！面白い、がとても嬉しい言葉です｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡旦那はほんとに誰にも教えてないので、これからですよ！ちなみに視点をお願いしたキャラは旦那では無いので、いつかの話を更新する度にドキドキして欲しいです！ (2019年1月11日 8時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 麗音さん» 見てくださって嬉しいです！あの2人の絡みでは、野坂君の違う一面を書きたいな！と思ったので、もちろんたくさん出てもらいますよ！まだまだ展開はたくさん考えてます！お楽しみに！コメントありがとうございました！ (2019年1月11日 7時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月卯月
| 作成日時：2018年12月16日 23時
