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妻の話 ページ2

「次の任務……どうしても行かなきゃ駄目なの?
他の柱の方に回せたり、とか…さ………
その、あの……、なんか…嫌な感じするんだよ、ね…………その無限列車……」



日はすっかり昇り、さまよっていた鬼達は陰へと逃げた時間帯。



鬼の時間は終わり、人間の時間へと地球が動いた時。



私、兄、そして兄の妻であるAさんの三人は煉獄家で朝食を頂いていた。



煉獄家のご飯はAさんが作ってくれており、今日もとても美味しくて箸は止まることを知らない。



そんな中あまり箸の進んでいないAさんの様子に気付いた兄が声をかけると、
Aさんは申し訳なさそうに言い箸を置いて俯いた。



兄の妻であるAさんは幼い頃、鬼によって御両親を亡くされている。



それゆえに教育を満足に受けられず、難しい物言いが出来ないらしい。



鬼殺隊になりたいと思ったこともあったそうだが残念ながらAさんには剣の才能がなく、
あまりの上達のなさに育手から愛想を尽かされてしまったのだと兄から聞いた。



育手から見放されてしまい泣いていたAさんを偶然兄が見つけ、そして励ました。



それを機に二人は会うようになり、遂には結婚をしたのだ。



それが兄とAさんの出会いだったと恥ずかしそうに話してくれたAさんの照れ笑いが思い浮かぶ。



私はそんな過去話を思い出しながら自分の横に座る兄をチラリと盗み見た。



兄はAさんの言葉を聞くと少し眉を寄せて同じ様に箸を置く。



その雰囲気に流れを感じて口に含んでいたご飯を慌てて飲み下し、
音をたてぬようにそっと箸を置いた。



膝に拳にした両手を置いてチラチラと二人の様子を伺う。



私を含めた三人は沈黙に包まれていた。



兄はAさんを凝視し続け、Aさんは俯いたまま無言。



私はそんな二人の顔を交互に見ることしかできなかった。



外からは人々の動き出した音が出始めており、沈黙を和らげ緊張感を下げさせた。



もう一度二人を見ようとした直後、
兄は口を開き子供に言い聞かせるように言葉を綴り出した。



煉獄「それはできない。
お館様は俺を信じて無限列車の任務を任せて下さった。
その信頼を裏切ることは、失礼に値する」



兄がそう言い放つと、Aさんは眉をひそめて不機嫌そうに話し出した。

幸せの話→←読むにあたっての注意(絶対読んで欲しいです!)



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春月卯月(プロフ) - フィオナさん» ありがとうございますー!一応最後の展開までは考えているので頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年11月20日 21時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - ユリさん» 気になって下さって嬉しいですー!なるはやで頑張ります!ありがとうございます! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 影姫一閃さん» タイトル悩んだんですよ本当にー!いい話なんて滅相もない!勿体ないお言葉です!ありがとうございます!頑張りますー! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 椿さん» 応援ありがとうございますー!楽しみにして下さって光栄の極み!頑張りますね! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
フィオナ - この後の展開が気になります。更新頑張ってください (2019年11月20日 20時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春月卯月 | 作成日時:2019年11月19日 22時

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