回夏の幽霊 (ページ9)

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「ねね、リンゴ飴食べたい。

「…大きいのでいいか？

「分かってるねぇ、流石彼氏くん。

「…いちいち言わなくていい。

クロスは大きなりんご飴を買ってくれた。りんご飴は絶対食べたいって言ったの、覚えてくれてたんだと思うとちょっと照れ臭くなった。クロスってこんなに手が大きくなったんだなって思ったりして。

「なぁ、海の近くで見ないか。花火。

「んー、いいね。人も居ないし。

クロスとは良く意見が合う。昔からそうだった。両親にこの島で預けられて数十年前の最初の出会いからずっと意見が合い続けた。合い続けて笑ってしまう程に面白くて。

「……A、今日は本当にありがとう。…嫌だったろ。

「クロスだからいいよ。

「…明日さ、言いたいことがあるんだ。だから、明日の六時半に、海で待ってるから。

そう言ってたっけ。クロスは何を話したかったんだろうなぁって今も思ってる。クロスは知らないだろうけどね。

クロスが好きだったよ。ずっと。

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