毒を以て毒を制す【SAKAMOTO DAYS】

○story16 ページ16

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《あ、もしもしA？》


「なんでしょう神々廻さん」


《…なんかお前の方からバカでかい音鳴ってへん？》


「あぁ…まぁ、爆薬使ってますから」


《まさかの殺し中かい。あんま被害でんようにせぇよ》


「ほぼ更地みたいなものなので安心してください」


《それお前が更地にしたんやろ》


「………」


《おい》









返事せぇ、とAの電話越しから神々廻のツッコミが聞こえる。




あの後、南雲に一方的に話されて一方的に切られたA。
煽るだけ煽って切ったなこの人、と彼女は考える。通常通りである。

そんな時、キラリと光るモノが彼女の顔目掛けて飛んできた。
親指と人差し指で挟むようにソレを掴めば、投げナイフ。


投げられた方向を見れば、小柄とも大柄とも言えないそばかすが目立つ女。

例の写真に載っていた死刑囚だ。
やっと見つけた…とAが思っていれば、そばかすの女は顔を紅潮させた。

そしてペラペラと流暢に話し出す。









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「ぁあ、あのあの！あなたの眼！と、とってもきれいですね！！完全に死にきってない感情を殺したその眼！黒曜石みたいな眼！わ、私が見た中で一番きれいです！」


「はぁ……」


「欲しいです！よければ私に譲ってくれませんか！！」









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まるでおもちゃをねだるような子どもの言い方。
知性の欠片もない彼女の発言に思わずAはドン引く。

なのでAはできるだけ近づかないで殺そう、と考え爆薬を使っていた。


そして冒頭の会話だ。




さすが死刑囚というかなんというか。
爆薬だけでそう簡単に死なない。


Aは片手にスマホ、片手に手榴弾、という形で神々廻と通話していた。
彼女が要件はなんだ、と問えば彼は「あー、任務の邪魔すんのも悪いからまた連絡するわ」とだけ言い電話を切る。

一方的に話して一方的に切った南雲とは大違いだ。


手榴弾も投げ、両手が空き、さぁ殺そうと準備万端なA。



しかし、運が悪いようで再びスマホの着信音が鳴り響いた。

と、同時にAの首を目掛けてナイフを振り下ろしてくるそばかすの女。



ガキンッ、と刃と刃がぶつかる音がする。

両手でナイフを持つ彼女と片手でソレを防ぐA。
Aが持っているナイフはそばかすの女が投げつけたものであった。











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