73話 ページ25
「清正様…………」
「馨が嫌なら無理に話す必要はなか」
「………………わかりました、話します。話しますわよ。だからそんな目で見るのはおやめくださいませ!」
信長は、子犬のような目で馨を見ており、それに耐えられなくなった彼女が折れた。仕方なく、本当に仕方なく口を開く。しかし、出てきたのは言葉ではなく空気の漏れる音だった。
「っ、は」
話そうと思っても、今まで黙ってきた事を打ち明けるのは難しく、どう頑張っても言葉にする事はできなかった。
「……どうやら私は、私自身も信用していないみたいですわね」
嘲笑うようにそう呟いて、馨は諦めたような笑みを浮かべて加藤や信長を見た。
「私は清正様以外誰も信用しません、期待もしません。それでもよければ私はあなた方に協力します」
ほぼ答えのようなものだった。それで大体察した者も少なくはないだろう。
信長もその内の1人で、何もできない自分に苛立ちを感じ、拳を握りしめた。
「…………ああ、構わん。……すまない」
馨は、何故謝られるのか理解できなかった。謝るのはこちらなのに、何故信長が謝るのだろうか。どうして皆、複雑そうな顔をしているのだろうか。何もわからないまま、PBB作戦が開始された。
「……よろしくお願いしますわ」
「おう!」
最初の旗印戦『山崎馨を談笑で倒す』を出した酒井忠次。気まずい雰囲気で始まったが、酒井のコミュニケーション能力の高さが功を成し、決着がつく頃には馨は大爆笑していた。
それにより、旗印戦は酒井の勝利で終わり、馨の雰囲気も先程までとは打って変わって穏やかなものになった。
「ふ、ふふふ、酒井様がお兄ちゃんだったらよかったのに……そしたらきっと、毎日楽しかったんだろうなあ」
「おっ、いいじゃん! 今からでも遅くないぜ〜。兄妹、なっちゃう?」
「ふふ、じゃあ忠次お兄様って呼ばなくてはいけませんね」
名前+お兄様呼びされた酒井はその場で倒れ、保健室送りとなった。そして目が覚めた頃、秀吉や伊達に羨まれたのは言うまでもない。
一方馨。一度旗印戦が終わったからとゆっくりしていたが、黒田に駆り出されていた。
「え、まだ私働くんですの……?」
「当然だろ、まだ酒井が60ポイント獲得しただけなんだからな。それに、秀吉は今真田とクイズ対決中だ」
「ぐっ……!」
仕方なく観念し、今後の旗印戦への参加を決意するのであった。
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Chiharu(プロフ) - ミルクチョコさん» コメントありがとうございます! なるほど、須賀君かっこいいですもんね〜! ドラマ見たあとしばらくハマってました笑 犬飼君とか笑 最近更新なくてすみません! 読んでくれてありがとうございます😭 (2023年1月13日 22時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクチョコ(プロフ) - 私は加藤くんですね!Chiharuさんのお気持ちわかります!まあ好きな理由はその役をやっている須賀健太君が好きなだけなんですけどねww (2023年1月12日 17時) (レス) @page8 id: 90f93b6301 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - オタくん♀さん» コメントありがとうございます! これからもそう言っていただけるよう頑張りますね! (2022年12月12日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 好きです! (2022年12月10日 20時) (レス) @page30 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - ふゆうさん» コメントありがとうございます! きゅんきゅんゲームはキンプリのライブDVDに収録されているコントコーナーのものです!笑 実際のセリフをほぼ丸パクリしてるだけですので……! それでも楽しんで頂けたようで幸いです! (2022年10月22日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年10月7日 17時