7話 ページ9
翌日、授業中の出来事だった。
「ブドウの収穫1番の県、わかるか?」
「授業は思っていたよりもまともですのね」
「どんなの想像してたくさ……」
「いえね？ 先生の言う事も聞かずに喧嘩するのでは、と危惧していたんですの」
と、何だかズレた思考回路をしていたが、あながち間違いでもなかった。
「ありがとうございます。我が故郷、山形」
「ばかってぇ、ぶどうは山梨に決まってるら。阿呆け」
「武田ァ……おめぇごしゃぐぞ」
「何を言っとるばかってぇ。おまんぶっさらうぞ！？」
「おうおう、何言っとるかわからん」
「馨の教育に悪いくさ」
「清正様？？？？」
同い年ですわよね……？ と、隣の席に座る加藤を見つめる(授業中は流石に膝に座らせたりしないらしい)。
「まぁまぁ、落ち着いて2人とも。どちらのぶどうも甘くて美味しいですよ」
と、2人を宥めようとする上杉だったが、同時に黙れと言われ早々に匙を投げた。
代わりに黒田が、葡萄の花言葉を例に出し仲裁に成功。ちなみに上杉の歯はセラミックではなくナチュラルなのだとか。
「喧嘩にならずに済んでよかったですわ」
「さすが天才軍師黒田官兵衛。気持ちがいいほどにスカッとしました！」
「葡萄だけに、まぁスカッとしたんだなぁ!」
本多を除く全員が、信じられないものを見るかのように信長を見た。教室の温度が一気に氷点下まで下がった瞬間、スクリーンに理事長の秘書……魔村の姿が映し出された。
｢初の公認旗印が出ました。旗印提出は、1年C組大沢一郎君｣
「誰中の誰」
黒田の言葉を筆頭に、クラス中で大ブーイングが発生した。加藤も足を大きく上下に動かし不満を露わにしている。
「大沢君が出した旗印はこちらです」
「２時間以内に武田信玄を倒す！！ 大沢一郎」
「無理でしょうに」
ズバッと言い放った馨の一言にクラス中が同意した。大沢と名乗る生徒はどう見ても武田に勝てるような人間ではない。
「なお、同じ旗印が出ました。合計205本」
その数の多さに誰もが驚き、困惑した。普通なら、こんな同時に同じ内容の旗印を出すなんて考えられない。その場合、確実にそうなるよう仕向けた人間がいる。
黒田は、目の前に座る井伊をじっと見つめた。
「おいおい、え?何。俺が他の連中に武田を倒す旗印出せって唆したとでも？ お〜いやめてくれよ」
わざとらしい態度は、自分がやったと言っているようなものだ。
「大丈夫でしょうか」
不安げに呟く声が静かに響いた。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです！楽しみにしてます！ (2022年10月6日 11時) (
レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね！ ご意見ありがとうございます！ 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います！ (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます！ 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい！ という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか？ (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2022年9月25日 5時
