22話 ページ24
「ん…………ぅ、」
「はっ……、ン」
静かな教室に2人の荒い息遣いと小さな水音が響く。リップ音を立てて唇が離れる頃、馨の目には涙が溢れんばかりに浮かんでいた。
「…………ん、」
ぽやぽやしている彼女の右頬に添えられた加藤の左手に、無意識で擦り寄っていた。
「ほんとに、可愛いやつくさ」
「…………ゔぁ」
しばらく甘えていたが我に返ったらしく、加藤から離れようと暴れ始めた。が、そう簡単に離してもらえるわけもなく、強く抱きしめられ終わった。
「もっ、申し訳ございません清正様! ご迷惑をおかけしてしまいましたわ……」
「珍しく馨が甘えてくれて、俺は嬉しかったくさ」
「それでも…………!」
高校生にもなって寂しさのあまり我を忘れるなんて! と、顔を真っ赤にさせながら恥ずかしがっている馨を見て、加藤は良い事を思いついたと言わんばかりに口角を上げた。
「俺がまだ足りん言うたら…………どうする?」
耳元で囁くように言われ、赤かった顔が更に赤くなる。
「…………」
「無理強いはせん。馨の選択に任せるくさ」
「……………………」
加藤はただ黙ってじっと待つ。おいで、と言うのは簡単だ。そう言えば馨がすぐに来てくれることはわかっている。けれど、どうしても馨の口から聞きたかった。
「今日はもう…………離さないでください」
たっぷり時間をかけて、馨は消え入るような声でそう言った。加藤は嬉しさのあまり力強く馨を抱きしめ、甘さたっぷりの声で囁く。
「いやって言っても離してやらんくさ」
────────────────────
翌朝、馨はシャワーを浴びながら顔を真っ赤に染め上げていた。
「わたっ、私は何て事を…………!!!」
脳裏には昨晩の記憶が。
『やぁ、きよまさ、さまっ…………もっと……!』
『はっ、今日は珍しく、甘えたで、欲しがりくさ……っ』
『んぅっ、あっ……は、すき…………好きです清正様っ』
『俺も好いとるくさ、馨っ……』
思い出すだけで顔から火が出そうだった。言葉にならない声を出して壁に軽く頭を打ち付ける。そうしてふと目に入った身体中の花びらに、頭がくらくらした。
「あああぁぁぁぁ………………」
これではしばらくの間、昨夜の事を思い出してしまいそうだ。
シャワーを浴びている最中、思い出しては顔を真っ赤にさせると言う事を繰り返し、上がる頃にようやく平静を保てるようになった。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年10月6日 11時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね! ご意見ありがとうございます! 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います! (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます! 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい! という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか? (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年9月25日 5時