16話 ページ18
「私、余計な事を言ってしまいましたわね……」
みやびと秀吉がいなくなった教室で、馨は明らかにしょんぼりしていた。
「ばってん、馨ちゃんは事実を言っただけばい！ 問題なか！」
「龍造寺の言う通りくさ。元気出すくさ」
「そうだよ、馨ちゃん。ほら、飴あげるから」
「え、ありがとうございます……？」
上杉が手渡したのは市販の棒付きキャンディー。何故この人がこんな物を……と不思議がりながらも有難く受け取る。
「うむ、俺もやろう」
「オレもオレも」
「え、ええ！？ なぜ皆様方こんなに飴を持っていらっしゃるのですか……？」
続けざまに毛利や真田からも飴をもらい流石に困惑する馨。両手に収まりきらないほどの飴がある。
「だって山崎、いつも飴舐めてるじゃねえか」
「あ…………はは、確かにそうですわね……皆様方、ありがとうございます。大切に食べますね」
1つだけ開けて食べてみる事にした。もう何年も、普通の飴は食べていない。少し震える手で包みを開けて、口に入れた。
「え゛」
見ていた全員が固まった。何故なら、馨の目から涙が溢れてきたからだった。
「ちょっ！ そんなに美味しくなかった！？ 大丈夫！？ ほらペッて！」
「っくく」
「加藤おまっ、なに笑っとる！？」
1人真相を知る加藤からしたら、この状況は面白くて仕方ないのだろう。馨の頭を撫でながら笑っていた。
一方の馨は、泣きながら笑っていた。
「ふ、ふふ……上杉様がペッて……ふふ、グスッ」
「ほら馨。これで涙を拭いて、ちゃんと説明してやるくさ」
「ん……はい旦那様」
受け取ったハンカチで丁寧に涙を拭きとり、深く息を吸った。とりあえず涙は落ち着いたらしい。
「すみません、お見苦しいところをお見せして……。ただ、飴がおいしくて」
普段馨が食べている飴は、お世辞にも美味しいと言えるようなものではない。若干甘い程度であとはほぼ苦いのみ。そんな飴ばかり食べていたのだから、普通の飴を食べて泣くのも頷ける。
「んな大袈裟な……普段から食ってるだろ」
「井伊！ 何か事情があるかもしれないだろ」
「あら？ 清正様、私もしかしなくても言ってませんわね？」
「完全に忘れてたくさ」
今まではずっと2人だったため、わざわざ他人に色々説明する必要なんてなかった。そのため、こうして周囲と関わるこの状況に慣れていなかった2人は、諸々の説明が頭からすっぱ抜けていたようだ。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです！楽しみにしてます！ (2022年10月6日 11時) (
レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね！ ご意見ありがとうございます！ 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います！ (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます！ 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい！ という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか？ (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2022年9月25日 5時
