30話 ページ32
「立て！」
抵抗もせず一方的に殴られ続ける秀吉を見て、流石に加勢しようとする伊達たちだが、秀吉が来るなと言うものだから何もできずにいた。
殴られ蹴られ。けれども彼は、決して倒れる事はなく、何度も起き上がった。
「……清正様」
「馨ちゃん的にはさ、あれはアリなわけ？ 思いっきり殴りまくってっけど」
「…………普段なら清正様だってあんな事はしません。ですがこれは旗印戦。やられてもいないのにやられたフリしてタイムアップを迎えられれば、困るのは清正様ですわ。豊臣様はそうしても問題ありませんのに、何度も起き上がっています……彼は皆様方が思うよりずっとずっと、誠実な方ですよ。だからこそ、旦那様も容赦なく本気でいくのです。まだ彼を卑怯者だと思っている人間がいるのなら、考えを改める事を強くお勧め致しますわ」
馨の言葉に反論できる者はいなかった。
遂に秀吉は、重い一撃を受けて起き上がれなくなってしまった。当然だ、加藤にやり返す事すらできず、ダメージはたまる一方。その上、無傷だったとはいえ55人から逃げてきたため体力だって消耗しきっている。
いつ限界がきても、おかしくなかった。なのに秀吉は再び立ち上がる。
フラフラで、立っていられるのが不思議なほどボロボロだ。
「俺は……変わるんや…………」
その言葉を聞いた馨は、驚きで目を見開く。
(ああ、やっぱり彼は私とは全然違う……とてもまっすぐで、自分に正直な方…………)
一方加藤は、嬉しそうに口角を上げた。
「お前……よか男くさ」
満足そうに頷いた加藤は、再び喧嘩を続ける。容赦なくボディーを殴り、しまいには頭突きをかました。まともに食らった秀吉は大の字に倒れてしまった。それでも尚、秀吉は立ち上がる。
「負けると思えば……負ける…………っ勝つと思えば、勝つ！！」
今度は飛び膝蹴りが直撃した。流石も秀吉も限界だったのか、倒れたまま動けなくなってしまった。起き上がりたいのに、身体が言う事を聞かないのだろう。
「残り30秒だ」
「っ、清正様……！！」
「馨ちゃん！？」
居ても立っても居られなくなり、馨は酒井の静止も聞かず教室を飛び出した。
1秒でも早くホールに向かうべく廊下をひた走る。階段を駆け下りる途中、転がり落ちそうになってもスピードは落とさなかった。
「時間です。豊臣秀吉君の勝利」
ようやくホールに辿り着き聞こえたのは、秀吉の勝利を告げる声だった。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです！楽しみにしてます！ (2022年10月6日 11時) (
レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね！ ご意見ありがとうございます！ 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います！ (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます！ 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい！ という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか？ (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2022年9月25日 5時
