124話 ページ26
いつもは真っ暗な世界にいるのに、今日は違った。私の記憶の中に、私は立っていた。
『俺今日さ！ 不思議な奴と会ったんだ！』
『どんな人なの？』
『睡蓮と同い年くらいのやつで、そいつはずっと海の中にいて、俺は砂浜で。ずっと話してたんだ。最初は泣いてたけど、話してるうちにすげえ努力家なんだなって思ったよ』
白髪の兄妹が縁側に座りながら話してる。私がまだ十歳の頃だ。そして、兄様は二十二歳。かなり歳が離れているから、幼い私からしたら、兄様はとても立派な大人に見えた。
こうして成長して、昔の兄様を見るなんて…………考えられなかったな。
『俺もまだまだ頑張らなきゃな。夢を叶えたあいつらみたいに』
『兄様ならできるよ！ あとさ、その子のお名前は？』
『あー、忘れちった！ 明日また聞いとくよ』
今思えば、横文字だったから覚えていなかったのかも、と思う。
いきなりぐにゃりと視界が揺れたと思ったら、記憶はその翌日を映し出していた。
『兄様兄様！ お名前、聞いた？』
『いや〜、また忘れた！！ それよりさ、睡蓮。お前はいきなり髪の毛あげるから友達になって！ って言われたらどうする？』
何これ全然記憶にない。え……どんな質問してるの兄様。驚きすぎて開いた口が塞がらない。まさか、友達になる代わりに髪の毛を渡したんじゃ……！
『すっごく嫌だね』
『うん、そういう事言うやつがいたら、すぐに逃げるんだぞ。そして後で俺に伝えろ。兄様がそいつぶっ潰してやるから』
十歳の妹に何言ってるんだか。呆れていたら、またも場面が変わった。毎回縁側で話しているのは、それが私たちの日課だったから。夕方に、父様の帰りを待ちながら、縁側でその日の事を話すのが。
『にっ、兄様！？ かっ、かかかか髪が！』
『いやあ、木に引っ掛けて切っちゃったわ〜！ それよりさ、すごいぞ！』
『その髪よりすごい事あるの！？』
『俺人魚に会っちゃった！』
『何言ってるの？』
『信じられないのも無理はない！ けどさ、俺が一昨日から話してたやつ、人魚だったんだよ！ それも蛸の！ いやあ、友達が人魚だとなすごいよなあ！ 明日醤油持って会いに行こ。冗談だけど〜』
当時、最後の呟きは聞こえていなかった。それがこうして聞けるようになるなんて。にしても兄様。冗談でも、友達を捕食するような事言うんじゃないよ。
よくあずーるさん、兄様に懐いたよね。
あとで捕食されるところだったよって教えてあげようかな。
ラッキーカラー
あずきいろ
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ｵﾀｸの夢(プロフ) - 初めまして。突然のコメント失礼します。アンケートの答えは2でお願いします。 (2020年7月11日 21時) (
レス) id: 16ffb5e192 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - いつも作品を楽しみにさせてもらっています！アンケートは2でお願いします！続き頑張ってくださいっ！ (2020年7月11日 20時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 2でお願いします！続き楽しみにしてます！ (2020年7月11日 5時) (レス) id: 90cb15719b (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 2でお願いします！無理せず更新頑張って下さい！ (2020年7月11日 2時) (レス) id: ad5ac1eb93 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 2で、お願いします (2020年7月11日 0時) (レス) id: 868bfc1b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2020年6月27日 16時
