117話 ページ19
次第に私も苦しくなってきた。頑張って腕で這って行こうとすると、でゅーすさんに抱き上げられた。
「わ、ありがとうございます!」
「いや大丈夫だ」
闇の鏡を通り抜けると、突然浮遊感に襲われた。でゅーすさんにしがみつくと、ぎゅっと、抱きしめ直された。恐る恐る目を開けると、そこは海の中だった。
ぐりむが息が出来ない!! と騒ぐけど、なんて事はない。きちんと息が出来る。そもそも話せている時点で、息はちゃんと吸えてる。魔法薬ってすごいな、って思わされた。人魚にされたのは謎だけど。
「マジで水の中で息が出来てるんだな」
「海の中ってこんなにも綺麗なんだ!」
きらきらしてて、お魚が楽しそうに泳いでいる。
はしゃいでいると、じゃっくに注意された。そうだ、目的完全に忘れてたよ。
とりあえず進みながら話す事に。私は、鰭に慣れていないから、でゅーすさんに手を引いてもらっている。
「そういや、睡蓮は大丈夫なのか?」
「大丈夫、です。人魚を見ると、八百比丘尼の話を思い出しますね」
「ヤオビクニ?」
「故郷の昔話ですよ。実話、とも言われていますが。ユウ君なら知ってるんじゃ……あれ、知らない? ならちょうどいいですね。
むかしむかし、ある村に漁師と、その娘が住んでいました。ある日、父親が人魚を釣りました。
父親は肉を持って帰りましたが、気味悪がって戸棚の奥に隠してしまいました。
実は、人魚の肉には、食べた者を不老不死にするという伝説がありました。
娘は、食べてはいけないとわかっていたのに、人魚の肉の甘い香りに惹かれて、全て食べてしまいました。その日から、娘は歳をとらなくなりました。
そんな彼女を村の人々は気味悪がりました。
しかし、彼女の幼馴染はそんな素振りは全く見せず、彼女と結婚しました。子が出来、夫が年老いても、娘は美しいままでした。
やがて夫も子も死に絶え、周りに知り合いがいなくなっても、娘の容姿は全く変わりません。
悲しくなった娘は、洞窟に閉じこもり、毎日のようにすすり泣くようになりました。八百年が経って、娘の声は聞こえなくなったので、人々は、娘は死んだのだろう、と言うようになりました。
……これが、八百比丘尼の話です」
みんな微妙な顔してるなあ。あんまり幸せみのある話じゃないもんね。
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八百比丘尼伝説については諸説ありますが、少しアレンジさせていただきました。
気になる方は是非調べてみてください
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オタクの夢(プロフ) - 初めまして。突然のコメント失礼します。アンケートの答えは2でお願いします。 (2020年7月11日 21時) (レス) id: 16ffb5e192 (このIDを非表示/違反報告)
メリ助(プロフ) - いつも作品を楽しみにさせてもらっています!アンケートは2でお願いします!続き頑張ってくださいっ! (2020年7月11日 20時) (レス) id: edf0a2913a (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 2でお願いします!続き楽しみにしてます! (2020年7月11日 5時) (レス) id: 90cb15719b (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 2でお願いします!無理せず更新頑張って下さい! (2020年7月11日 2時) (レス) id: ad5ac1eb93 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 2で、お願いします (2020年7月11日 0時) (レス) id: 868bfc1b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2020年6月27日 16時