心得21つ目《夜のこと》 ページ24
「自ら死に向かうなんて、何か死にたい理由でもあるのか」
「……生きる意味が見つからないから死ぬんだ。意味もなく生きているのは死んでるのと同じだ」
私が怒り気味に言うと苛立った顔で、私の胸ぐらを掴んだ。反射した眼鏡の奥から見出せない感情の1つが燃えているのが分かった。
羨みと憎しみと納得と期待を込めた、歪んだ瞳だ。
「お前みたいなやつは死ねん。生きる意味を自ら見つける力すらも持ち合わせていないやつに安らかな死など訪れるわけもない」
「それなら死にたいと願うのが悪だと言うのか。他人の考えと思想を否定するのか」
眼鏡は心底嫌そうな顔をして手を離した。買い物袋を揺らして踵を返す姿は夕日に溶けた。
やっぱり嫌いだ。
どこなく私に似た目をしているから嫌いだ。
これは、単なる同族嫌悪なのだ。
分かっている。分かってはいたのだ。
だのに、それに対して、嫌いという言葉しかつけられなかった。
ふらふら歩いてアパートに戻った。
珍しく鍵を使って部屋に入った。
ほとんどのものが置かれていない殺風景の部屋。窓がかすかに空いていた。
外套を脱ぎ捨てて、ベッドに転がる。
色々あった今日をまとめて眠気に溶かした。
永井幹部には会えなかった。
きっと、もうどこかに帰ってしまって、どうしようもない気持ちになっているのだろう。
明日は今日と変わらずに話してみよう。
そうすればきっと、戻ってくる。
何も知らないままで幸せになれることだってある。
私は知らない幸を求めていたい。
知って後悔するだなんて
なんだか悔しいじゃないか。
懐かしい父の言葉を思い出した。
なんだか今だけ納得してやった。
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評価百突破記念話(長い)は
リクエストがあんまり来ないので、今回はこっちで書かせていただきます。
今回のお題は、
【スモーキングフェティシズム永井幹部と煙草を共有する太宰さん】にします!
ちょっと会話を増やして、二話くらいで書きたいです。
よかったら読んで見てほしいです!
ではでは。
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しぇるふぃあ。 - すみません、「聖バレンタイン日」が「生バレンタイン日」になってます…!小泉幹部すごく好みです、更新応援してます!! (2018年3月21日 12時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃら - 面白いです!頑張って下さい! (2018年3月11日 12時) (レス) id: b7f29ff674 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - かれんさん» 今回の話の題名では、夢主さんが最年長幹部なのでそれをそのまま題名にさせてもらっています!太宰さんは確かに最年少幹部ですけどね! (2018年2月23日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - 下のコメントに「最年長幹部では?」とありますが、正しくは「最年少幹部」なのでは?細かいところすみません、お話、最高に面白かったです! (2018年2月23日 21時) (レス) id: bd11a80ca1 (このIDを非表示/違反報告)
hi - 凄く楽しかったですこれからも更新頑張ってください (2018年2月8日 17時) (レス) id: 8a1cd5ab5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2018年1月27日 19時