カルテ41枚目【叫び】 ページ7
(暗め注意です)
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執務室。
私のよく出入りする、個人部屋と化してる部屋。
暗い室内、二つの窓。冷えた空気と、完全防音。私の落ち着ける場所。
そっとナイフを取り出して、首筋に当てる。
でも切る気になれなくて、そっと腕に移し替える。こうして、ストレス発散をしている。
これしか知らない。
これが一番。
血を流して痛めつけて、其れが心地よくなるまで続ける。其れが私のやり方。
『【最年少幹部様】?』
いつもの呼ばれ方にとっさにその方を向いた。そこには3日前から顔を見てなかった大庭医師がいた。なんだか全てを察したような顔をして、私に近づいてくる。ナイフを投げ捨てて、傷を隠す。
血が滴りおちるのは、どうにもできないけれど。
『なに、してたの』
「…………ストレス発散」
なるべく冷たくいう。
こうさせたのは君だから。私は仕方ないから。これしか知らないから。
自己防衛の言葉が壁を作っていく。
『………腕、貸して』
「……」
隠したままで見せない。
これを見たらきっと怒る。
いつだってそうだった。誰にだってそうされてきた。怒られるためにやってるわけじゃないのに。また繰り返す要因を作ってるだけだって、理解しない奴が悪い。
『貸して』
「…………」
『チッ』
舌打ちをして私の腕を無理やり掴む。
抵抗してもそのまま傷だらけの腕をじっと見られて、なんだか嫌になってきた。
「離せ!」
強く振りほどくと、其れは簡単に解けた。
まるで元から離そうとしていたかのようにあっさりと。私は何歩か後ろに下がって、医師を睨みつけた。
「なんで、なんで私の中に入ってくるの」
「いつもいつも!!私のことぐちゃぐちゃにするくせに、飽きたらすぐに捨てるだけ!!」
「振り回されてばっかりで、自分だけ馬鹿みたいで、おかしくなりそうで、だからこうしてるの!!!悪いのは、悪いのはお前だ!!
お前らだ!!私は、私は………っ」
言うことに詰まって、息をついた。
何度も息をついて、そっと医師を見た。
「……っ」
ひどく穏やかな目で、私を見ている。
まるで、言っていいよ、なんて言うみたいに優しい目。嫌だ、やめて、そんな目で見ないでよ。
『…………言いたいことは、それだけ?』
女みたいに優しい声で、医師は私に微笑みかけた。
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NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» もしよろしければリクエストォォォ!! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» そ、そ、そ、そのつもりでございましたぁぁぁぁあ!!!!やりますやります!頑張ります! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - 続編…だと…!?この流れからしてあのパターンだよね?うわあああああああああ!!もしよければ与謝野さんと話しして欲しいですー!!!!!! (2018年1月1日 21時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - ぬおおおおおおお!!!!…。←語彙力 控えめに言って…神です。(真顔) (2017年11月13日 8時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - NamE.薆さん» なぬ…!?…。死亡フラグが思いつかねぇ。← (2017年11月5日 10時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年10月27日 19時