カルテ68枚目【勇者】 ページ34
翌日には、もう大庭医師は復帰していた。
いつも通りの医務室で
いつも通りにカルテを書いて
私にナース服なんて着せて
変に茶化してから私に仕事をさせる。
そんな当たり前の日常。
でもそれは唐突に、また、絶望へと戻されることになる。
ーーーーー
ーーー
ーー
ー
廃屋のステンドガラスが夕焼けを照らして反射し、光と陰に分けた世界を作り出している。
影のうちに倒れた赤い髪の男を急ぎ支える包帯だらけの腕。
光のうちに倒れたものへ誰が駆けつけるもなかったが天から舞い降る夕光がかつての友の面影を連れて安らぎを添えた幸福なる死を与えた。
「織田作」
赤髪の男を呼ぶ声に焦りが見え、無いに等しい力で最後の言葉を伝える。
「人を救う側になれ」
包帯を巻きつけた己を隠す男に言葉が刺さった。心臓をえぐるような心地よい言葉は、彼に真からの決意を持たせ、闇に倒れ伏した男はゆっくりとその瞼を閉じた。
微かに上を見上げて嗚咽を漏らした彼の姿はもう闇に溶け込めるものではなかった。
伸びたステンドガラスの光が彼らに半分差し掛かり、光に傾き始めた人生を悟らせた。
赤い髪の男と白髪の兵士は互いの死をもって、互いの願いを叶えようとした。
包帯の青年は二つの亡骸を見つめ、何秒か目を伏せるとその廃屋から姿を消した。
二つの勇者の亡骸は、己の生を全うしたように誇らしい顔つきだった。
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» もしよろしければリクエストォォォ!! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» そ、そ、そ、そのつもりでございましたぁぁぁぁあ!!!!やりますやります!頑張ります! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - 続編…だと…!?この流れからしてあのパターンだよね?うわあああああああああ!!もしよければ与謝野さんと話しして欲しいですー!!!!!! (2018年1月1日 21時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - ぬおおおおおおお!!!!…。←語彙力 控えめに言って…神です。(真顔) (2017年11月13日 8時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - NamE.薆さん» なぬ…!?…。死亡フラグが思いつかねぇ。← (2017年11月5日 10時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年10月27日 19時