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カルテ56枚目【エリス】 ページ22

「知ってる?」




少女が唐突に聞いてきて、何がと問いただす前にそれを少女が短く説明した。





「あの人が怪我をしない理由」





「怪我を、しない」




「勿論、異能で干渉を遮断しているのもあるんだけどそれだって万能じゃない。記憶による干渉で一時的に能力が途切れた時に、怪我をすることもあった。その時の反応は、あまりに酷かった。
怪我を、あのときは少し切っただけなのだけど、それだけでも嫌だって何かに反抗して涙を流して痛いって叫んでたわ。
きっと、酷いことをされたんでしょうね」





どこか遠くを見つめるような目をして、私に語りかけてくる。椅子から立ったまま、少女に背を向けている。酷いことをされたのは十分にわかっている。私じゃ想像もできないようなことがあったのも伝わってくる。







「もう、行くのね」





疑問符のない少女の言葉は、深く刺さった気がした。もう、行くのね。
行く、ことはない。なんだかその人の声が儚げで寂しく聞こえてしまった。




「詳しいことは本人から聞いてみなさい。
きっと貴方になら、素直に答えてくれるはずだから」




その後に少女はぽそりと、本当に小さな声で呟いた。私達でも、素直にはさせてあげられなかったから。後悔の念が強く聞こえて、また息を飲んだ。





「明日よ。明日の午前10時に呼び出し命令が来るわ。覚えておきなさい」





少女がお菓子をすべて平らげてしまって、つまらなさそうに皿を置いた。
赤いフリルのワンピースについたお菓子の屑を払うとニッコリと来た時のように笑って、私に手を振った。





「じゃ、また会えたら会いましょう!
私はエリスよ!ダザイ!!」





大声でそういうので、仕方なく、また、とだけ言って扉を開けた。
明日、明日か。
いざそうなると緊張する。
こうして彼女の人生の一部をまた知ってしまった。






なんだか、知ってはいけないとは思えない。
知れてよかったと思えてる。
それはきっと、彼女を知れた嬉しさがそう思わせているのだろう。






すこしだけでも彼女を知れた。
知れたからこそできることもある。
支えてあげることくらいはしてあげたい。






私がしたい。






その本性は、私の役目でありたいという独占欲だということに、私はまだ気づかない。

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NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» もしよろしければリクエストォォォ!! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 赤珠(元 チョコうさ。)さん» そ、そ、そ、そのつもりでございましたぁぁぁぁあ!!!!やりますやります!頑張ります! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - 続編…だと…!?この流れからしてあのパターンだよね?うわあああああああああ!!もしよければ与謝野さんと話しして欲しいですー!!!!!! (2018年1月1日 21時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - ぬおおおおおおお!!!!…。←語彙力 控えめに言って…神です。(真顔) (2017年11月13日 8時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)
赤珠(元 チョコうさ。)(プロフ) - NamE.薆さん» なぬ…!?…。死亡フラグが思いつかねぇ。← (2017年11月5日 10時) (レス) id: 5fa7fae13e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年10月27日 19時

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