二発目 ページ4
あれから数分。
私がヨコハマ中に糸を巡らせ、敵の大まかな場所を把握し中也に伝えた。
『私の仕事、終了。あとは、中也のしごと』
「まだ終わってねェだろうが、索敵したなら援護しろ」
『援護がないと勝てないの?』
「ンなわけねぇだろ!!」
『なら、頑張って』
私はそそくさと物陰に隠れる。
その後、中也の理不尽な怒り混じりの轟音が聞こえ、早く終わらないかと雲の数を数えていた。
「_________おい!薬菱!!!」
『なに………………』
中也の方を見て、なにが言いたいのか理解した。
嗚呼、またか。
「ぅ、わ、た、助けっ、ひぃ!」
中也は攻撃力があり、基本的には一撃で仕留められる。しかし、調子を乗り、時に敵を取り逃すのだ。
今さっき悲鳴をあげた、若い男もきっとその類だろう。左腕が潰れ、変な方向にひしゃげている。
「き、君!た、たすけ」
男が助けを求め、私を見上げた。
物陰にて隠れていたのは、これもある。
『逃げちゃ、めっ』
手を強く握りしめると、それと同じ瞬間に男の首が飛んだ。
赤い命の証を撒き散らし、呆気なく倒れた。
彼の首には、僅かに細い線が入った。
その線の正体は私の糸。
糸を首に巻きつけ、強く引く事で首を締め飛ばしたのだ。
驚愕の顔のままで、首が転がっている。
そこにしゃがみ込んで、目を閉ざした。
こうすれば、寝ている様に安らかに、見える。
「お疲れ」
『また、取りこぼしてる。集中してる?』
「任務に半分参加しなかった奴が言うなっ」
額にデコピンをくらい、少し揺らぐ。
押さえていれば、片方の手を取られ、そっと手の甲に接吻された。
「ご苦労さん」
これは彼の恒例。
私が任務で敵を殺せば、こうして接吻をする。
慰め、だろうか。
『(私はもう、人を殺してもなにも思わないのに)』
悲しくなんて、ないのに。
「ほら、帰るぞ」
雑に手招きをされ、そっと歩み寄る。
『中也』
早く帰りたそうな顔で振り向く中也のチョーカーを引っ張って、彼の額に軽く接吻した。
驚愕顔の中也をおいて、本部へと帰る。
後ろから「くそっ」と言う悪態付く声が聞こえ、少しだけ早足で、血濡れた道を歩いて行った。
中也の頬が、赤く染まっていたのを
ちゃんと頭に焼き付けながら。
70人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥香 - 面白いです!頑張って更新してくださいね!ずっと待ってますんで☆ (2017年9月6日 21時) (レス) id: 7ef9178f07 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 晋陽さん» 頑張りますっ! (2017年8月31日 20時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続きが気になります!更新頑張って下さい! (2017年8月31日 17時) (レス) id: 8ef45f8c23 (このIDを非表示/違反報告)
NamE.薆(プロフ) - 滓跂さん» 頑張ります!! (2017年8月15日 22時) (レス) id: 71af860354 (このIDを非表示/違反報告)
滓跂(プロフ) - とっても面白いです!続き、待ってますね! (2017年8月15日 20時) (レス) id: 33d499f1b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:NamE.薆 | 作成日時:2017年8月15日 16時