20話 鬼という存在 ページ21
驚いた俺を見たからか、鬼は俺に問う。
「…鬼に会うのは初めてか？」
「んー、君みたいな天人に会ったのは初めてだね。どこの種族？」
「天人？」
「天人じゃないの？」
あれれ、おかしいぞと唸る。
目の前にいる男は絶対に地球人ではない。
それは見て分かるのだが。
はて、こんなに不死身に近い天人いたものだっけ、と思考を巡らす。
どれだけ考えても俺の人生経験から答えは得られず、この天人を否定する''鬼''という存在に対して疑問が生じるだけであった。
そして鬼も似たようなことを考えていたのか、お前は人じゃないのかと少し困惑した表情で問いかけてくる。
「俺は夜兎だよ、知ってるでしょ？」
ほらほら、と言わんばかりに白い肌と番傘を強調する。
夜兎と言えばどこの天人だろうとピンと来るはずだが、この男は夜兎の存在どころか天人すらも知らないかのように首を傾げた。
「夜兎…とはなんだ。」
「本当に知らないの？君こそ命知らずじゃない？」
どれだけ考えようとも見つからない答えに、この異様な光景。
頭が足りないと散々言われてきた俺でも可能性として浮かび上がった事実を口にせずとはいられなかった。
「…俺、ここの世界知らないかも。」
良く考えれば江戸に似てる全く別の街、地球にしては西洋文化が盛んで天人の姿はない。
さらに言えば目の前の男は天人どころか夜兎も知らない無知な化け物であり。
鬼、なんて不死身に近い存在がいるのであるならばそれはもう元老に目を付けられていてもおかしくないのに、今まで全く知らなかった。
「違う世界、だと？そんなことがありえるのか？」
「うん、だって俺が知ってる地球とは違うし。
それに鬼なんてチートな存在いたら俺は真っ先に殺しに行ったさ。…その存在も今日まで知らなかった。」
「まあお前が違う世界から来ようが関係ない。
この姿を見られたからには生かして返すわけにはいかないからな。」
そう言ってまた間合いを詰めてくる。
こんな生ぬるい攻撃で俺を殺せると思ってるのかな、なんて雑念を避けながら男の腹を蹴り飛ばす。
何十メートルか先に飛んでいった男を見て、トドメを刺しに今度は俺が距離を詰める。
そして番傘を奴の首元に振りかざした瞬間。
「…おい、何をしている。」
西洋風な服装に身を包んだ小柄な男が鬼を見下すように見つめていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナルシスト - とても面白くていい小説ですね！これからも頑張ってください！ (2020年4月17日 14時) (
レス) id: 9f29b33a37 (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください！応援しています！！ (2020年3月16日 15時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです。この感じだとオチは神威なのでしょうか？神威だととても嬉しいのですが、、、楽しみに更新を待っています。 (2020年2月16日 11時) (レス) id: 8f6ad57d8f (このIDを非表示/違反報告)
4o(プロフ) - 妖精・ナルルさん» ありがとうございます！これからも少しずつ更新しますのでよろしくお願いします( . .)" (2020年2月7日 2時) (レス) id: 14a215dd40 (このIDを非表示/違反報告)
妖精・ナルル - 面白いです！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 428de63203 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：4o | 作成日時：2020年1月31日 4時
