19話 放置プレイ ページ20
目が覚めるとそこは栄えた街の裏路地だった。
周りを見渡してもAの姿がない。
…アレ、一緒に落ちたはずなんだけどな。
膝を軽く払い、彼女を探すために路地を抜ける。
眼前に広がった世界は、地球とよく似た違う世界。
和と洋の混合したその世界は俺の知る''地球''とは全く違くて。
でもきっとここが地球だと思ったのは目の前にある団子屋のせいなのかもしれない。
降ろされたシャッター、少し灯る街頭に目を向けながら街を散策してみる。
…おかしいな、侍がいないや。
と思った矢先、刀を持った少年の姿が目に入った。
Aはいないし、暇だし、どこだか分からないしあいつを脅して聞き出そう、といつもの物騒な考えを実行しようと少年に近づけば。
「_____鬼!!!!!」
少年の前には天人の姿があった。
…なんだ、お取り込み中なのか。
俺は順番を待つかのように適当な椅子に腰をかけ、その様子をじっと見つめた。
その瞬間、鬼と呼ばれた天人は少年の首を跳ねた。
まるで少年の命が軽く、初めから存在しなかったかのように一瞬で散ったその場面はあまりにも見慣れた光景で、それ以上に鬼に対する好奇心が高まっていった。
「ねえ、俺とも戦ってよ。
君、なかなか強そうだしさ。」
「…誰だ。」
「まあまあ、そんな警戒しないでよ。
俺はただ君と戦いたいだけ。君も戦うの嫌いじゃないでしょ?」
「…見たところ鬼狩りじゃ無さそうだが…まあいい、物好きもいたものだ。
せいぜい暇つぶしをさせてくれよ!」
その言葉を待たず、俺はいつもの様に拳を繰り出した。
鬼はその攻撃を間一髪避けたようで、そのまま前進してくる。
攻撃を避けるために前進するのは戦い慣れている証拠、楽しくなりそうだと考え自然と上がる口角を誤魔化すように傘を叩きつける。
「もう終わり?もっと楽しませてくれよ。」
「練り上げられた体術だ!素晴らしい!
名を名乗れ、名前の名は何だ!覚えおきたい!」
「神威、だよ。そんな無駄口聞く余裕あるの?」
そう言いながら鬼の首をはねる。
…跳ねた、のに。
そいつは首がなくなったまま歩き、自分の首を拾ったかと思うと接合させ、まるで怪我なんかしていなかったかのようにまた話し始める。
俺もさすがにこの異様な光景には目を開く他なかった。
196人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナルシスト - とても面白くていい小説ですね!これからも頑張ってください! (2020年4月17日 14時) (レス) id: 9f29b33a37 (このIDを非表示/違反報告)
mio - 更新頑張ってください!応援しています!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: 2668335830 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです。この感じだとオチは神威なのでしょうか?神威だととても嬉しいのですが、、、楽しみに更新を待っています。 (2020年2月16日 11時) (レス) id: 8f6ad57d8f (このIDを非表示/違反報告)
4o(プロフ) - 妖精・ナルルさん» ありがとうございます!これからも少しずつ更新しますのでよろしくお願いします( . .)" (2020年2月7日 2時) (レス) id: 14a215dd40 (このIDを非表示/違反報告)
妖精・ナルル - 面白いです! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 428de63203 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:4o | 作成日時:2020年1月31日 4時