悪い人じゃあないんだけどね？ ページ9
暗かった領域内に光が差し込む。
同時に落ちてくる影は正しく悠仁のもので。
ぐわん、と視界がふたつに揺らいだ。
例えるなら、右目にツギハギの居る実像を、そして左目には虚――宿儺の生得領域を。
ひとつの空白に二つのものを無理やり押し込めたかのような、そんな。
やつの術式と悠仁の内に宿儺の魂があることによって生じた特異的な空間だった。
ああ、不味ったな。
視界の端に写った己の服装は、実である高専の制服。そして、虚である――いつか、平安の世で慣れ親しんだ和装と。
「――言ったはずだぞ。二度はないと」
宿儺が指をほんの一振りすると、悪趣味野郎の身体は大きく裂けた。
その損傷で領域を維持できなくなったであろう、爆ぜるような音とともにやつの領域は消えたものの。
「……倉橋さん、アナタは――」
『――後にしよう。
……そうだね。ひとつ言うなら……悠仁が爆弾を抱えた少年だとすれば、私はきっと爆弾そのものだよ』
面倒事というのは消えてくれなかった。それどころか更なる面倒を連れてきてしまったわけだ。
しっかり見られたし、見たのなら監督する術師として問い詰めなければならない。
正直朱雀ではない式神の翼生やしてた時点でアレだったけどな！
これはさすがに無視できないわけだ。
最後の足掻きに膨張した呪霊を殴らんとする悠仁に目を向ける。
――風船が破裂するように爆散した？
変だな。帳は未だ……！？
七海建人一級術師と駆け出したのは同時。
排水溝に消えていくやつを追撃するように鉈を振り下ろした彼の攻撃は果たして、効果は得られなかったらしい。
まあ当たってたにしろやつに攻撃が効かないとかなんとかだったし祓えたかは分からんが。
『追うか？』
「いえ、1人二級の方を呼んであります。彼に応援を頼みましょう」
その言葉と共に投げた視線の先を辿れば、全身傷だらけでふらふらとした足取りの悠仁。
そういえば全身に穴開けてたよな。よくあれだけ動けるというか何というか――
だが体に限界が来たのだろう、悠仁はぱたりと倒れた。
『――本来動ける怪我じゃあない。これはアドレナリン切れかな。
完全に治すことはできないけど応急処置だけしておこう。後は高専で女医に任せる』
「分かりました。高専と伊地知君に連絡をしてきます。倉橋さんは五条さんへの連絡を」
『りょーかい』
絶対キミ五条先生と話したくないがための分担だろソレ！ まあ良いけども！
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ベルゼ - すっごく面白いです！更新頑張ってください！ (9月17日 22時) (
レス) @page17 id: c0b33047a9 (このIDを非表示/違反報告)
月野(プロフ) - マリオットさん» ありがとうございます(*´˘`*)♡ のんびり更新になりますがこれからもよろしくお願いします〜！ (2022年10月11日 8時) (レス) id: 7dfcfb958e (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - あっ！この話好きです！！体調に気をつけて更新頑張ってくださいね！ (2022年10月10日 14時) (レス) @page8 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
月野(プロフ) - にゃーちゃんさん» 応援ありがとうございます！気まぐれのんびり更新にはなりますが今後ともよろしくお願いします(*´˘`*)♡ (2022年9月18日 21時) (レス) id: 7dfcfb958e (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - とても面白かったです！更新頑張ってください、楽しみにしてます！ (2022年9月18日 17時) (レス) id: 25d0243371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月野 | 作成日時：2022年9月16日 11時
