私と義兄の家族日記 (ページ6)

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慶一郎side

「なぁ、手越。
昼メシ奢るから、ちょっと付き合ってくれない？」

「いいんスか？行きます行きます！」

昼休み、後輩の手越に少し相談したいことがあり、昼メシに行かないかと誘ってみた。

この後輩、チャラいけど案外マジメだったりする。

店に着き注文を終えると、早速本題を切り出した。

「あのさ、手越って女子高生好きだよな？」

「そうっすけど。Aちゃんのことっすか？」

「なんで分かるんだよ。」

「このタイミングなら、そうだろうなって。
え？一緒に暮らすことになったんですよね？」

手越は葬式にも来てくれたから、大体のことは分かっている。

「そう、そうなんだけどさ。
やっぱり、俺とAちゃんの関係って、間に美沙子が入るか入らないかがスゴく大きい訳よ。
昨日まではお通夜だ、お葬式だ、なんてバタバタしてたから、そんなに問題なかったんだけどさ、いざ日常生活に戻ると、どういう感じで接していいか分かんないのよ。」

「どういう感じで接していいか分からないって、例えば？」

「何を話題にしたらいいのか、とか。
あと、女の子って、自分が寝てる部屋に義理のお兄ちゃんが起こしに来るのって、嫌なものなの？
俺、今朝それで悩んで、結局起こさないで仕事に来ちゃったんだよね。」

「それは、それまでの関係によりません？
今まで普通に二人で会話したこととか無いんですか？」

「それはあるけど…」

「寝顔を見たり、Aちゃんの部屋に入ったことは？」

「それもあるけど…
でも、それは俺とAちゃんの間に美沙子がいたからっていうのがデカイからね！
俺とAちゃんの間に美沙子がいるかいないかって、かなり大事なことだから！」

「美沙子さんがどうのこうのってより、小山さんが自分から壁を作ってるだけな感じしますけどね。
Aちゃんからしたら、急に余所余所しくされる方が辛いと思いますけど？」

「そうかなー…」

余所余所しくされる方が辛い、か。

お家に帰ったら、ちょっと頑張ってみようかな。

「ありがとな、手越」

「こちらこそ、ごちそうさまです。」