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夢を見た。

その人は、悲しそうに微笑み、こちらを見る。
無性に傍へ行きたくて、手を伸ばすのに離れていく。
必死に叫んでも、届かない。

黒いものに飲み込まれそうになった時、俺を呼ぶ声が聞こえた。

現実に引き戻されると、心配そうに見つめるAの姿があった。


どうやらあの人のことを母親と呼んでいたらしい。
全然覚えてないけど。
というか、俺がどこの何者なのかも覚えてないのに分かるわけないか。


出された食事に物足りなさを感じながら、身支度を済ませたAは俺にスペアキーを渡して、買い物に出掛けて行った。

続いてシャベルを手に取り畑に向かう。


神威「…眩しいな」


昨日ずっと土いじりをしていた時、気分が少し悪くなった。どうやら俺は太陽が苦手らしい。

その辺にあった傘を広げると、なんだかしっくりきた。
ハート柄は気に食わないけど、仕方ない。


「お兄ちゃん、病院の人?」


声をかけられ振り返ると、小さな子どもがいた。
お兄ちゃん。どこか懐かしい響だ。


神威「病院の人じゃないけど、ここに住んでるよ。何か用かい?」

「あのっ、お母さんがお熱出てて、お薬貰いに来たの…」

神威「ありゃりゃ。それは困ったね。でも俺何もできないよ」

「ふ…ふえぇん」


参ったなぁ。泣かれてもなにも変わらないんだけど。


神威「じゃあA…先生、探しに行こうか?」


コクっと頷くと、小さな手が服の裾を掴む。
狭い歩幅に合わせるようにゆっくりと歩き、A探しの旅に出る。


ーーーーーーーーーーーーーー


A「うーん、洗濯もの忙しいし、なにか服が欲しいけど…神威のサイズが分からない…」


買い物ついでに服でも買ってやろうと思って店に入ったけど、男物のサイズ感が分からず戸惑う。


A「…あ!総悟!」


丁度店の外を通りかかった総悟を呼び止め、候補の服を合わせていく。


A「うんうん、同じ様な体格だ。これなら失敗しないよ〜助かった〜」

沖田「俺はこういうの趣味じゃねえ」

A「別にあんたにあげるわけじゃないよ」

沖田「はあ?じゃあ誰にやるってんでぃ」

A「いやぁ、かくかくしかじかで」

沖田「いや分かんねえよ」

A「土方さんから聞いといて」


不服そうな顔をしながらも無理やり付き合わせ、なんとか似合いそうな物が買えた。

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作者名:ぺち | 作成日時:2021年2月8日 12時

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