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A「あー頭痛い、酒なんて二度と飲まない…」


食堂で水を飲みながら昨日の奇行を嘆く。


神威「あれ?今日は静かだねえ」

A「どっかのバカのせいでゲロゲロなんですよ」

神威「情けないね」

A「一口しか飲んでない下戸に言われたくないです」

阿伏兎「どっちもどっちだ。これからアホ提督んとこへ向かう。長旅になるから次の星で諸々買い込む。サボるんじゃねえぞ、すっとこどっこい共」

A「ネットで注文すればいいじゃないですか」

神威「なにそれ、店に行かなくてもご飯買えるの?」

阿伏兎「ダーメーだ。団長にそんなもん教えたら経費がいくらあっても足りねえ」

A「ちえ、めんどくせ」


降り立った星は治安が良いとは言えないようなところだった。


神威「阿伏兎、嫌がらせのつもり?」

阿伏兎「嫌がらせのひとつでもしてみたいもんだがね、あいにく買い物が出来そうな店がある星はここくらいしか無かったんだ」

A「この星なんかあるんですか?」

神威「…なんでもないよ、昨日の酒が残ってるみたいだ。悪いけど休ませてもらうよ」


何故か不機嫌になった団長は、足早に帰って行った。
副団長も団長には甘いんだから。


阿伏兎「……故郷だよ、団長の」

A「ならなんで機嫌損ねるんです?普通は懐かしむもんでしょ」

阿伏兎「普通ならな」

A「?」


話そうとしない副団長を問い詰める程興味も無いし、疑問に思いながらも物資を入手していく。

私の育った星も平和とは言えなかったけど、ここは見た目からガラの悪い下品な奴が多い。


阿伏兎「お前はいいなぁ、愛する故郷があって」

A「別に愛しては無いですよ、まあ皆さんとは違って家族はいたし仲も良かったですけど」

阿伏兎「そんな奴が悪党になっちまうとは子育てってのは難しいねぇ」

A「…」

阿伏兎「…すまん。デリカシーが無かったな」

A「いえ…」


私の両親は殺された。
お人好しだったあの人達は、友人に騙されて、骨の髄まで金をむしり取られて、口論の末に。

この世界は弱者は食い物にされる。
だから悪に身を落としたんだ。

両親の様に無様な終わりを迎えないために。
2人が残した未来が、踏み躙られないように、私は、強者になるんだ。

団長の座を勝ち取って、着々と上り詰めて、この宇宙の実権を握るくらいに。

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作者名:ぺち | 作成日時:2021年2月22日 22時

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