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A「探すまでもないですってー」

神威「諦めたらそこで試合終了だよ」

A「…あれ?そういえば私達の船見当たりませんけど…」


なんか、嫌な予感がする。


神威「今通信繋げるから……もしもーし阿伏兎、今どこにいる?」

「ふ…副団長なら今トイレだ。相当長丁場になりそうなんだが」

神威「あっそう。3秒以内にもどってこなかったら減給って言っといて」

阿伏兎「よォ団長!」

A「わざとらしい」


今どこにいるか尋ねても一向に教えない副団長。
なるほど、私達に見張れと言いたいのか…。


神威「いいよ、じゃあこっからいくから」

阿伏兎「そっから来れるの!?」


ガラスの割れる音がしたと思えば通信機の画面をバキバキと殴っていた。


A「流石にまだその手とお腹の傷塞がってないでしょ。大人しくしてたらどうですか」

神威「そうだね。なんて言うと思う?」

A「でしょうね」


目指すは伊賀。こんな身体でまだ戦い足りないってんだから恐ろしいもんだ。

走り出すその背中について行くと、また身体が怠くなってきた。でもこんなところで止まれない。

連れてけって言ったのは私だし、二度と約立たずなんて言われたくない。


神威「……それ、原因分かってるの」

A「え?」

神威「隠すの下手なんだよ。動きが鈍い」

A「…別に」

神威「見たくないんだよ。その姿」



心底意味が分からなくて、団長の顔を見ると何かを思い出しているような、複雑な表情をしていた。


神威「…徨安って、知ってる?」

A「知ってるも何も私、そこで拾われたので。育ての親に」


突然立ち止まり肩を強く掴まれた。
その目は酷く怯えていて、尋常ではないその姿に驚きを隠せなかった。


A「だ、団長…?」

神威「そこに、誰がいた?」

A「いませんよ?ずっとひとりだったし、両親と行ってた時も誰も…」

神威「…そう。そうだよね、俺とお前同い歳だし」

A「あの星に知り合いでもいるんですか?」

神威「いや…でも、お前のその身体、その星に行けば治るよ」

A「話が読めないんですが」

神威「お前、留守番。あっちから船探して待機。団長命令」

A「嫌だって言ってるでしょ」

神威「黙れ」


なんで、そんな辛そうな顔してるの?
初めて見るその顔に、何も言い返せなくて、スピードを上げて伊賀へ駆け出す後ろ姿をただ見ていることしか出来なかった。

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作者名:ぺち | 作成日時:2021年2月22日 22時

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