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A「綺麗…」
門出に相応しく鮮やかに咲いた桜に足を止める。
花びらに包まれながら見上げる先輩は、相変わらず綺麗で、出会った日を思い出す。
不思議だな、今、隣で笑ってくれているなんて。
A「先輩、第二ボタンください!」
神威「そんなの貰ってどうするの?」
A「知らないんですか?女の子は好きな男の子が卒業する時、1番心臓に近いボタンを貰うんですよ。貰えたら、その人のハートは頂いた!ってことになるんですよ!」
神威「ふーん」
A「興味無さそー!なんならその学ランでもいいですけど」
神威「お前は番長って器じゃないでしょ」
A「別に番長になりたい訳じゃないですよー!3年間着込んだ先輩の匂い、体液が染み込んだ物が欲しいだけです」
神威「今日くらい変態発言やめたら?」
A「もー、高校で会える最後の日なのに連れないなぁ」
神威「ボタンなんて無くても、もう心はお前のものだよ。…て、臭かった?」
頬をポリポリ搔いて、らしくないことを言った自分に照れている姿が愛おしくて堪らない。
A「あの日、転んで良かったです。先輩が通りかかってくれて、良かったです」
神威「あの時は本当にウザかった」
A「ひどーい」
神威「ま、受験頑張りなよ。待っててやるから、追いかけてきてよ」
A「…もちろんです!私は先輩の行く方だけに向かっていきますよ、昔も、今も、これからも」
嬉しそうに微笑む先輩は、春風みたいに暖かくて。
神威「あとあれ、ちゃんと起きてたよ」
A「はい?なんの事ですか?」
神威「この事」
縮まる距離に、私はまた目を瞑れなくて。
グンと濃くなる、先輩の匂い。
神威「A、好きだよ」
甘くて優しいその言葉は、もっともっと私の心を先輩で埋めつくしていく。
どれだけ好きにさせたら気が済むんだ。
A「何を仰いますか。私の方が、大好きです!」
引き寄せられる手と手。
嫌がってもずっと離しませんから、覚悟してくださいね?
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作者名:ぺち | 作成日時:2021年2月1日 17時