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久しぶりの感覚。
高揚感。血が沸騰する。
神威「うん、やっぱり晋助は強いね。やり甲斐があるよ。この辺りは弱い奴しかいないからつまらなかった」
高杉「フン、おめえも相変わらず喧嘩バカだなぁ」
神威「それはお互いさまでしょ」
高杉「さっさとくたばりやがれ!」
…いいねぇ、その蹴り。ちょっと効いたよ。
神威「俺はそんなんじゃ倒れないよ。これくらいやらないと……っ!」
A「ぐ…やめて、ください」
後ろから強い力で両腕を制される。
へえ、Aって結構力あるんだね。
火事場の馬鹿力ってやつ??
神威「感心しないなぁ。こういうのはね、邪魔しちゃダメなんだよ」
A「喧嘩の流儀だか男の流儀だか知らないですけど、私には関係ないです…!」
神威「離せよ、邪魔だって言ってるだろ」
高杉「余所見してんじゃねぇよ」
神威「っ…」
A「あっせ、先輩…血が…」
咄嗟にAを庇ったら、顔に思いっきり蹴りを食らってしまった。
神威「…ねえ、わかる?お前がいると勝てるもんも勝てない。あっち行ってて」
A「…負けてもいい、先輩が出会った頃みたいな冷たい顔になるくらいなら、ボロボロに負けて終わってくれればいい!」
神威「は?負ける?何言ってんの」
A「私を傷付けるのは、先輩がサヨナラを言う時だけにして下さい。それ以外で、私を悲しませないでください」
ぽろぽろと涙を零しながら腕を離さないAに、胸が少し痛んだ。
神威「……」
高杉「…おい、なんだその面は。まるで俺がイジメてるみてぇじゃねえか」
恐らく俺は、情けない顔をしてるんだろう。
コイツを泣かせてしまった不甲斐なさに。
高杉「…興ざめだぁ。今のお前と喧嘩しても面白くも何ともねぇ」
神威「晋助!まだ」
高杉「喧嘩以外でお前に興味あるものがあったとはねぇ…続きはその女がいない時にしようや」
手をヒラヒラと振りながら去っていく晋助の姿を呆然と見ていた。
なんだかバツが悪くて、Aに声をかけることも出来ずに。
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作者名:ぺち | 作成日時:2021年2月1日 17時