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寄ってもらって何だけど、ここに来たのは無駄足に終わった。
心動かされることもないし、成仏できる気も全くしない。
だけど、楽しそうに昔話をするAの姿は見ていて飽きない。
神威「俺みたいな不良はいいんだ」
A「へ?」
神威「随分仲良かったみたいだから」
生前はこの思い出たちをどんな風に捉えていたんだろう。
誰かに笑いながら話せていたのかな。
A「どうしようもないアホだったけど、何事にも全力で、決めたことはやり遂げたり素敵なところもあったよ」
なんだかんだ世話を焼いてくれるこの人は、全てを受け入れてくれる、深い海みたいな心の持ち主だと思う。
Aに見つけてもらって良かったな。
神威「他行くとこある?」
A「飽きてんじゃないわよ、誰のために…あ」
神威「何かあった?」
A「ううん、別に。神威がいいならもう帰ろう、疲れた」
外に出ると、ぽつぽつと雨が降り始めていた。
最悪!と何度目かの不満を漏らしながら叩かれたけど、実体のない俺には当たらず睨まれた。
でも、置いていかずに小声で話しながら家に入れてくれる。
俗に言うツンデレってやつなんだろうか。
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作者名:ぺち | 作成日時:2021年10月31日 18時