空木 (ページ11)

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神威「起きないの？」

A「行きたくない…高杉はともかく取り巻き達に何されるか分からないもん…」

神威「怪力な友達が守ってくれるって」

A「後処理できないなら黙ってて」

妙ちゃんには打ち明けようかと考えたりもした。
でも彼との過去を知っているから、可哀想な目で見られるのがオチだろう。

神楽には…言えないな。傷を抉るようだし、からかっていると感じるかもしれない。

神威「昨日は失敗に終わったけど、喧嘩と中学校以外で他に思い当たることない？」

A「今それどころじゃない」

昨夜、暗い教室の中で机の隅っこに相合傘が彫られているのを見つけた。
そこには私と神威の名前が描かれていた。

彼がそんな可愛らしいことをするとは思えないし、誰かが冷やかしにでもやったんだろうな。

A「…ちょっと、部屋漁らないでよ」

神威「構ってくれないし退屈なんだもん。わぁ、見た目によらず派手なの着けるんだねぇ」

A「だァ！もう！」

おちおち考える暇もない。
見えてしまった者の宿命と思って、もう全部に覚悟を決めよう。

A「さて、準備するか…」

神威「いつもスッピンだよねぇ」

A「デートとかになればするわよ」

神威「へぇ、似合わなそ〜」

初めてふたりで出掛けた時、気合いを入れてメイクしたっけ。
その時も似合わないって笑われたな。

良くも悪くも、人って死んでも変わらないもんなんだ。